問題
問32
次の記述は「BCP(事業継続計画)」に関するものである。BCPを策定する目的として最も適切なものはどれか。
- 企業の税制優遇を受けるための基盤を作るため
- 業務効率化のためのIT投資を行うため
- 災害や障害発生時に、重要業務を継続または早期復旧するため
- 人材育成計画と連携した研修制度を整備するため
正解
正解は「ウ」です。
解説
正解は「ウ(災害や障害発生時に、重要業務を継続または早期復旧するため)」です。BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、地震や火災、感染症、システム障害などの非常事態が発生した際にも、企業の中核となる業務を停止させない、または可能な限り早期に再開することを目的として策定される計画です。
たとえば、大地震でオフィスが使えなくなっても、サーバーが別拠点にバックアップされていれば業務を続けられる、という仕組みを事前に準備しておくことがBCPの具体例です。BCPは、単にリスク回避をするだけでなく、企業の信用維持、顧客対応、法令順守といった観点からも重要です。
災害時の混乱を最小限に抑えるには、平常時からの準備が欠かせません。BCPは経営戦略の一部とも言え、従業員の安全確保や取引先への影響軽減など、企業全体の持続可能性を高める取り組みです。したがって、BCPの目的として「重要業務を継続または早期復旧する」は最も適切な内容となります。
ア(企業の税制優遇を受けるための基盤を作るため):
税制優遇はBCPの主な目的ではなく、BCPは災害や緊急事態における業務継続のために策定されるものです。
イ(業務効率化のためのIT投資を行うため):
IT投資は業務改善の一環であり、BCPの直接的な目的ではありません。BCPは「非常時への備え」が主目的です。
エ(人材育成計画と連携した研修制度を整備するため):
人材育成は重要な施策ですが、BCPの本来の目的とは異なります。BCPは緊急時の業務継続が主眼です。
難易度
この問題はBCPの定義と目的を正確に理解していれば容易に正解できます。選択肢の中で唯一「災害や障害時に継続・復旧する」というキーワードが入っており、他の選択肢と明確に区別できるため、初学者でも比較的解きやすい問題です。
用語補足
BCP(事業継続計画):
災害やシステム障害などが発生した際に、重要業務を停止させず継続する、またはできる限り早く再開するための計画です。会社の命綱とも言えます。
リスク管理:
企業活動に潜む危険や不確実性を把握し、事前に対応策を講じることです。BCPもリスク管理の一環として位置付けられます。
業務継続性:
企業が災害やトラブル発生時でも事業を止めずに続けられるようにすることです。これが実現されていれば、顧客や取引先からの信頼を損なわずに済みます。
対策
BCPに関する問題は「目的」に注目するのがポイントです。業務の「継続」や「早期復旧」といったキーワードが正答に結びつくため、基本用語と目的をセットで暗記しておきましょう。災害ニュースなどと関連付けて学ぶと記憶に残りやすくなります。