問題
問17
A社は、営業担当者が日々のセールス活動で利用する営業部門内システムの構築プロジェクトを進めている。このプロジェクトは、システム開発部門長がプロジェクトマネージャとなり、システム開発部門から選ばれたメンバによって編成されている。当該システムの業務要件定義を完了するための主要な手続として、適切なものはどれか。
- 営業活動方針を基にプロジェクトメンバが描いたシステムのあるべき姿を、営業企画担当者に提出する。
- 営業部門長と営業担当者から聴取した業務ニーズをプロジェクトメンバが整理・要約し、営業部門長と合意する。
- 業務要件としてプロジェクトメンバが作成したセールス活動の現状の業務フロ一を、営業担当者に報告する。
- ブレーンストーミングによってプロジェクトメンバが洗い出した業務要件を、プロジェクトマネージャが承認する。
[出典:ITパスポート試験 平成30年度秋期 問17]
正解
正解は「イ」です。
解説
正解は選択肢イです。業務要件定義とは、システムが何をすべきか、どのような機能が必要かを明確にするプロセスです。このプロセスでは、システムを使う人(ここでは営業担当者)のニーズを正確に把握し、それを文書化することが非常に重要になります。 選択肢イの説明は、まさにこの業務要件定義の正しい進め方を示しています。まず、システムの利用者である営業担当者から「業務ニーズ」、つまり「システムでこんなことがしたい」「今の業務のこんな点が不便だ」といった要望を聞き出します。 次に、プロジェクトメンバがそれらの要望を「整理・要約」します。これは、漠然とした要望を具体的な機能や要件に落とし込む作業です。
例えば、「顧客情報をすぐに見たい」という要望であれば、「顧客コードで検索できる機能」や「過去の購入履歴を表示する機能」といった具体的な要件に変換します。 そして、その整理された業務要件を「営業部門長と合意」します。これは、システムが目指す姿について、利用者側と開発側で共通認識を持つための重要なステップです。この合意がないと、後で「こんなはずではなかった」という認識のずれが生じ、手戻りやプロジェクトの失敗につながる可能性があります。
このように、利用者のニーズを正確に把握し、それを具体化して関係者間で合意形成を行うことが、業務要件定義の成功には不可欠なのです。
ア(営業活動方針を基にプロジェクトメンバが描いたシステムのあるべき姿を、営業企画担当者に提出する。):
システムのあるべき姿は、あくまで利用者のニーズを基に描かれるべきです。また、それを提出する相手も、単なる営業企画担当者ではなく、最終的な意思決定権を持つ部門長などであるべきです。プロジェクトメンバが一方的に描いたものでは、利用者の真のニーズからずれてしまう可能性があります。
ウ(業務要件としてプロジェクトメンバが作成したセールス活動の現状の業務フローを、営業担当者に報告する。):
業務要件定義では「現状の業務フロー」だけでなく、新しいシステム導入後の「あるべき業務フロー」や「新機能」を明確にすることが重要です。また、報告だけでなく、合意形成が不可欠です。
エ(ブレーンストーミングによってプロジェクトメンバが洗い出した業務要件を、プロジェクトマネージャが承認する。):
ブレーンストーミングは要件を洗い出す良い方法ですが、それだけでは利用者のニーズが網羅されているか不明です。また、承認者はプロジェクトマネージャだけでなく、業務の責任者である営業部門長との合意も不可欠です。
難易度
この問題は、ITパスポート試験のマネジメント分野でよく出題される「業務要件定義」に関する知識を問うものです。基本的なプロジェクトマネジメントの概念を理解していれば、比較的容易に解答できるでしょう。特に、システム開発において「誰の意見を聞き、誰と合意形成を行うべきか」という常識的な判断力が問われます。初学者でも、業務フローの設計やシステム導入の進め方をイメージできれば、正解にたどり着きやすいレベルです。
用語補足
業務要件定義:
システム開発の最初の段階で、新しいシステムがビジネス上何を解決し、どのような目的を達成するかを明確にする作業です。例えば、「顧客からの問い合わせに素早く対応できるようにしたい」といったビジネス側の要望を具体的にまとめることですね。
プロジェクトマネージャ:
プロジェクト全体の計画、実行、監視、完了に責任を持つ人です。野球チームで例えるなら監督のような役割で、プロジェクトを成功に導くために、人、予算、時間などの資源を管理します。
ブレーンストーミング:
複数人が集まって自由にアイデアを出し合い、新しい発想を生み出す会議手法です。例えば、新しい商品のアイデアを出す際に、良い悪いを考えずに「こんな機能があったら面白いかも!」とどんどん意見を出し合うようなものです。
業務ニーズ:
企業や組織が事業活動を行う上で、解決したい課題や達成したい目標のことです。例えば、「顧客管理が非効率なので、もっとスムーズに情報を共有したい」というような具体的な課題が業務ニーズにあたります。
対策
この問題を解くためのポイントは、システム開発における「業務要件定義」の目的と、そのプロセスにおける「ステークホルダー(関係者)との合意形成の重要性」を理解することです。業務要件定義は、利用者の要望を開発に反映させるための最初の重要なステップであり、利用者と開発者の間の認識のずれを防ぐために、双方の合意が不可欠であることを押さえましょう。特に、誰が何を決定し、誰が承認するのか、その責任範囲を明確にすることが重要です。

