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ITパスポート試験 平成30年度春期 [問30] 過去問解説

問題

問30

プロバイダが提供したサービスにおいて発生した事例のうち、プロバイダ責任制限法によって、プロバイダの対応責任の対象となり得るものはどれか。

  • 氏名などの個人情報が書込みサイトに掲載されて、個人の権利が侵害された。
  • 受信した電子メールの添付ファイルによってウイルスに感染させられた。
  • 送信に同意していない宣伝用の電子メールが幾度となく送られてきた。
  • 無断でIDとパスワードを使われて、ショッピングサイトにアクセスされた。

[出典:ITパスポート試験 平成30年度春期 問30]

正解

正解は「」です。

解説

 正解は「ア」です。プロバイダ責任制限法は、インターネット上の情報によって他人の権利が侵害された場合に、インターネットサービスプロバイダ(プロバイダ)が負う責任の範囲を定めた法律です。この法律は、プロバイダが情報の流通を媒介する立場にあるため、無制限に責任を負わせるのではなく、一定の条件の下で責任を制限することで、インターネット上の表現の自由を保護しつつ、被害者の救済も図ることを目的としています。

 具体的には、書込みサイトに氏名などの個人情報が掲載され、それがプライバシー権などの個人の権利を侵害している場合、被害者はプロバイダに対して、その情報の削除や、投稿者の情報開示を請求することができます。プロバイダは、このような請求があった場合、侵害の明白性や情報の削除の必要性などを判断し、一定の条件を満たせば、投稿者の情報を開示したり、情報の削除に応じたりする義務が生じることがあります。

 例えば、SNSで誹謗中傷されたり、個人情報が晒されたりした場合に、SNS運営会社(プロバイダ)に削除を求めたり、投稿者の情報を教えてほしいと頼んだりできるのがこの法律の役割です。この事例は、まさにプロバイダ責任制限法が想定する「権利侵害情報」の典型例であり、プロバイダは被害者からの情報開示請求などに対応する責任を負う可能性があるため、正解となります。

イ(受信した電子メールの添付ファイルによってウイルスに感染させられた。):
 これは、利用者が添付ファイルを開封したことによる自己責任の部分が大きく、プロバイダが直接的にウイルスの感染を防ぐ責任を負うものではありません。プロバイダは通信経路を提供する役割であり、個々のメールの内容まで監視し、ウイルス感染を完全に防ぐことは困難です。
ウ(送信に同意していない宣伝用の電子メールが幾度となく送られてきた。):
 これは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)で規制される迷惑メールの問題です。プロバイダ責任制限法は、主にインターネット上の情報による権利侵害に焦点を当てています。
エ(無断でIDとパスワードを使われて、ショッピングサイトにアクセスされた。):
 これは不正アクセス禁止法で規制される「不正アクセス行為」に該当します。この場合の責任は、主に不正アクセスを行った者や、ID・パスワードの管理が不十分であった利用者自身、またはショッピングサイト運営会社に問われることが多く、プロバイダ責任制限法の直接の対象とはなりません。プロバイダは、不正アクセスの通信経路を提供したとしても、その内容を知り得ないため、責任を負うことは難しいです。

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難易度

 この問題の難易度は中程度です。プロバイダ責任制限法という特定の法律に関する知識が問われるため、法律の具体的な内容を学習していないと判断が難しいかもしれません。しかし、各選択肢の事例を比較することで、どのケースがインターネット上の「情報の内容」に関する問題であるかを区別できれば、正解にたどり着くことができます。日頃からニュースなどで耳にする「ネット上の誹謗中傷」などの問題と関連付けて考えると、理解しやすくなります。

用語補足

プロバイダ責任制限法:
 インターネット上の情報によって権利が侵害された際、インターネット接続業者(プロバイダ)が負う責任の範囲を定めた法律です。例えば、掲示板に悪口を書かれた人が、その情報を削除してもらったり、書き込んだ人を特定してもらったりする際に使われます。プロバイダには、情報削除や発信者情報開示の義務が生じる場合があります。

プロバイダ:
 インターネットサービスプロバイダ(ISP)の略で、インターネットへの接続サービスを提供する会社のことです。皆さんが自宅やスマートフォンでインターネットを利用する際に、回線を提供している事業者がこれに当たります。例えば、NTTやソフトバンク、KDDIなどがプロバイダに該当します。

権利侵害:
 他人の財産や名誉、プライバシーなどを不法に傷つける行為のことです。例えば、インターネット掲示板で根拠のない悪口を書き込まれて名誉を傷つけられたり、個人情報を無断で公開されたりするようなケースが該当します。

不正アクセス禁止法:
 コンピュータネットワークを通じて、許可されていないコンピュータに侵入する行為(不正アクセス)を禁止し、罰する法律です。例えば、他人のIDとパスワードを盗んで、その人の銀行口座にログインしようとする行為などがこの法律によって取り締まられます。

対策

 この問題を解くためには、プロバイダ責任制限法がどのような状況で適用されるかを理解することが重要です。特に「インターネット上の情報流通による権利侵害」という点に注目しましょう。他の選択肢が、迷惑メール(特定電子メール法)、ウイルス感染(利用者側の対策、またはプロバイダのセキュリティ対策)、不正アクセス(不正アクセス禁止法)など、別の法律や技術的な問題に関わるものであることを区別できると正解にたどり着きやすくなります。各法律の目的や適用範囲を整理して覚えることが対策となります。


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