問題
問79
プロジェクトにおける「リスク対応」のうち、リスクの移転に該当するものはどれか。
- リスクがある業務を取りやめる
- 損害が起きたら社内で対応する
- 保険に加入して損失の負担を外部に任せる
- 原因を調査して再発防止策を練る
正解
正解は「ウ」です。
解説
正解は「ウ:保険に加入して損失の負担を外部に任せる」です。プロジェクトマネジメントにおいて「リスク対応」は、リスクにどう対処するかを計画・実施するプロセスであり、大きく分けて回避、軽減、受容、移転の4つの戦略があります。その中で「移転」は、リスクが発生した場合の責任や損失の負担を外部の組織や個人に移す方法です。
たとえば、事故が発生した場合の損害賠償を保険会社に負ってもらうように保険に加入する行為は、まさに「リスクの移転」に該当します。これにより、組織はリスクによる金銭的な負担を軽減でき、損失が発生しても対応は外部が行います。
日常生活で例えるなら、自動車保険に加入することで交通事故時の賠償責任を保険会社に負担してもらうことと同じです。したがって、保険に加入することはリスクの移転に該当します。
- ア(リスクがある業務を取りやめる):
これは「リスク回避」に該当します。リスクそのものを排除する方法であり、移転ではありません。 - イ(損害が起きたら社内で対応する):
これは「リスク受容」の一種であり、リスクが発生しても自社で対処すると決める対応です。リスクを移すのではなく抱える方法です。 - エ(原因を調査して再発防止策を練る):
これは「リスク軽減」に該当します。リスクの発生確率や影響度を下げる工夫であり、移転とは異なります。
難易度
この問題はリスク対応の種類を理解していれば容易に解けるため、初心者にも比較的易しい問題です。選択肢には「回避」「受容」「軽減」など他のリスク対応も含まれており、それぞれの違いを学習していれば迷うことなく答えられます。
用語補足
リスク移転:
リスクが発生した場合の損失を、保険会社など外部の機関に引き受けてもらうことです。たとえば、火災保険に加入して建物が焼失した場合の損害を補償してもらうのが典型例です。
リスク回避:
リスクそのものを発生させないために、原因となる行動や計画を中止・変更する方法です。たとえば、危険性のあるプロジェクトを最初からやらないことが該当します。
リスク軽減:
リスクの発生確率や影響を小さくする対策です。たとえば、データのバックアップを取っておくことで、システム障害が発生しても被害を最小限に抑える方法が該当します。
対策
リスク対応の種類(回避・移転・軽減・受容)を整理して、それぞれの意味と具体例を覚えておくことが大切です。実生活の保険や予防策に当てはめて理解すると定着しやすくなります。過去問を通じて出題パターンにも慣れておきましょう。