問題
問36
以下のうち、システム開発における「ベースライン」の説明として最も適切なものはどれか。
- 進捗や成果物の変更管理の基準点となる状態
- テストで発見された不具合の一覧
- 開発工程ごとに作成するチェックリスト
- システム導入後の保守体制を記述した文書
スポンサーリンク
正解
正解は「ア」です。
解説
「ベースライン」とは、システム開発の各工程において、進捗や成果物の管理を行う際の「基準となる状態」を指します。これは、特定の時点で文書や成果物が公式に承認され、その後の変更を管理するための出発点となるものです。
たとえば、要件定義書や設計書などが関係者の合意のもとに「この内容で進める」と決まった状態がベースラインになります。その後に何か変更を加える場合には、ベースラインとの差分を明確にし、変更管理プロセスに従って対応する必要があります。
日常的な例で言えば、プレゼン資料の最終版を「確定版」として保存し、それ以降に修正したい場合は、上司の承認を得て変更するようなイメージです。この「確定版」がまさにベースラインに該当します。ベースラインを設定することで、プロジェクトの進行状況を明確にし、不要な混乱や手戻りを防ぐことができます。よって、「進捗や成果物の変更管理の基準点となる状態」というアの選択肢が最も適切です。
- イ(テストで発見された不具合の一覧):
これは「バグリスト」や「障害報告書」と呼ばれるものであり、ベースラインとは関係がありません。ベースラインは文書や成果物の基準点を指す概念です。 - ウ(開発工程ごとに作成するチェックリスト):
チェックリストは作業の抜け漏れを防ぐための道具であり、成果物の変更管理の基準点であるベースラインとは役割が異なります。 - エ(システム導入後の保守体制を記述した文書):
これは「保守計画書」などに該当する内容であり、開発工程での変更管理の基準を示すベースラインとは直接の関係がありません。
難易度
この問題はITパスポート試験の中でも基本的な用語知識を問う問題であり、初心者にも比較的易しい部類に入ります。ベースラインという言葉がプロジェクト管理で頻出するため、テキストや過去問で一度学習していれば十分対応可能です。用語の意味を正確に理解していれば確実に得点できる問題です。
スポンサーリンク
用語補足
ベースライン:
システム開発やプロジェクト管理において、文書や成果物を公式に承認した状態を指します。この状態を基準にして、以降の変更を管理していきます。例えるなら、家の設計図が確定した時点がベースラインです。
変更管理:
プロジェクト中に発生する仕様変更や修正要求に対し、その妥当性を判断し、適切に対応するためのプロセスです。変更により影響が出ないように慎重に調整を行います。
成果物:
システム開発の各段階で作成される文書やプログラムなどの完成品を指します。例としては要件定義書、設計書、テスト仕様書、ソースコードなどがあります。
対策
「ベースライン」はプロジェクト管理や開発工程の重要なキーワードです。類似の用語(成果物、バージョン管理、チェックリストなど)と混同しやすいため、役割や目的の違いを明確に整理しておくことが効果的です。用語の意味だけでなく、どのような文書がベースラインとして扱われるかも押さえておきましょう。