問題
問56
要件定義から導入までを行うシステム開発プロジェクトにおける、マスタスケジュールの説明として、最も適切なものはどれか。
- 一週間分の作業を詳細に記述したスケジュール
- 一日分の作業とその開始時間,終了時間,担当者を記述したスケジュール
- 主たる工程の作業を詳細に記述したスケジュール
- プロジェクト全体の主要な成果物や作業を集約したスケジュール
[出典:ITパスポート試験 平成31年度春期 問56]
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は「エ プロジェクト全体の主要な成果物や作業を集約したスケジュール」です。マスタスケジュールとは、システム開発プロジェクト全体の大きな流れを把握するための計画書のことです。具体的な日々の作業や細かいタスクではなく、プロジェクトの始まりから終わりまでの主要な段階(例えば、要件定義、設計、開発、テスト、導入など)とその段階で何が完成するのか(成果物)、いつまでに終わらせるのか(作業完了日)といった、全体像をまとめて示すものです。
例えるなら、旅行の計画を立てる際に、まず「ハワイに5日間行く」という大きな計画(マスタスケジュール)を立て、その後に「1日目はワイキキビーチ、2日目はダイヤモンドヘッド」といった詳細な計画を立てるのと同じです。マスタスケジュールは、プロジェクトに関わる全員が共通認識を持ち、プロジェクトが計画通りに進んでいるか、大きな方向性にズレがないかを確認するために非常に重要な役割を果たします。
ア(一週間分の作業を詳細に記述したスケジュール):
一週間分の作業を詳細に記述したスケジュールは、マスタスケジュールよりも細かいレベルの計画であり、通常は中長期の作業計画や週次計画に該当します。
イ(一日分の作業とその開始時間,終了時間,担当者を記述したスケジュール):
一日分の作業とその開始時間、終了時間、担当者を記述したスケジュールは、非常に具体的な日々のタスク管理であり、マスタスケジュールのような全体像を示すものではありません。作業指示書や個人タスクリストに近いものです。
ウ(主たる工程の作業を詳細に記述したスケジュール):
主たる工程の作業を「詳細に」記述するスケジュールは、マスタスケジュールが示す「集約」された全体像とは異なります。各工程の詳細計画に当たります。
難易度
この問題は、プロジェクトマネジメントの基礎知識があれば比較的容易に解答できるでしょう。特に、スケジュールの種類とその役割を理解しているかどうかが問われます。各選択肢の言葉のニュアンスを正確に捉えることがポイントとなります。ITパスポート試験で頻出するプロジェクト管理の分野ですので、しっかりと学習しておくことが重要です。
用語補足
システム開発プロジェクト:
特定の情報システムを企画、設計、開発、導入し、運用を開始するまでの一連の活動を指します。例えば、新しいECサイトを構築する、社内業務を効率化するシステムを導入するなど、目標達成のために期間と予算を定めて行われる活動のことです。
マスタスケジュール:
プロジェクト全体の大きな流れや主要な工程、節目、成果物などを一覧で示した高レベルの計画書です。具体的な作業内容よりも、いつまでに何を完成させるかという全体像を把握するために用いられます。例えるなら、マラソンの全体計画で、スタート、中間地点、ゴールといった主要なポイントを示すようなものです。
要件定義:
システム開発の最初の段階で、顧客や利用者がシステムに何を求めているのか(機能、性能、操作性など)を明確にし、文書化する工程です。家を建てる際の「どんな部屋が欲しいか、何階建てにするか」といった要望を聞き出し、設計図の元になる仕様を決める作業に似ています。
成果物:
プロジェクトの各工程で作り出される最終的な生産物のことです。例えば、要件定義書、設計書、プログラムコード、テスト報告書、そして最終的に完成したシステム自体などが挙げられます。家を建てる際の図面や、出来上がった家そのものが成果物にあたります。
対策
この問題を解くためのポイントは、「マスタスケジュール」がプロジェクト全体の「主要な成果物や作業」を「集約」して示すものであるという認識を持つことです。プロジェクト管理におけるスケジュールの階層(マスタ、詳細、作業レベル)を理解し、それぞれの役割の違いを明確に把握しておくことが重要です。細かい作業や具体的な期間を記述するものは、マスタスケジュールよりも下位の詳細スケジュールに該当することを覚えておきましょう。関連するプロジェクトマネジメントの用語も合わせて学習することで、類題にも対応できるようになります。

