問題
問25
企業の収益性分析を行う指標の一つに,”利益÷資本”で求められる資本利益率がある。資本利益率は,売上高利益率(利益÷売上高)と資本回転率(売上高÷資本)に分解して,それぞれの要素で分析することもできる。ここで,資本利益率が4%である企業資本回転率が2.0回のとき,売上高利益率は何%か。
- 0.08
- 0.5
- 2.0
- 8.0
[出典:ITパスポート試験 平成31年度春期 問25]
正解
正解は「ウ」です。
解説
本問は、財務分析の基本であるデュポン分解に関する計算問題です。 問題文に示されている関係式は以下の通りです。
資本利益率 = 売上高利益率 × 資本回転率
これをそれぞれの定義式で確認すると、次のようになります。
(利益 ÷ 資本) = (利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 資本)
右辺の「売上高」が約分されると、左辺の「利益 ÷ 資本」と一致するため、この分解式が正しいことがわかります。
問題文で与えられている値は以下の通りです。
以下は、HTMLを含まない「普通の文章」に整えたものです。
- 資本利益率は 4%(0.04)
- 資本回転率は 2.0 回
求めるのは売上高利益率(X)です。これらの値を式に代入します。
- 0.04 = X × 2.0
- X = 0.04 ÷ 2.0
- X = 0.02
売上高利益率はパーセントで問われているため、0.02 × 100 = 2.0% となります。
したがって正解は「ウ」の 2.0 です。
この分解分析は、企業が利益を上げるために「どれだけ効率よく売上を上げているか」(資本回転率)と、「売上の中でどれだけ利益が出ているか」(売上高利益率)の両面から分析するために使われます。
ア(0.08):
資本利益率と資本回転率を掛け算した場合(0.04 × 2.0 = 0.08)の値であり、式を逆に解釈しており誤りです。
イ(0.5):
資本回転率を資本利益率で割った値(2.0 ÷ 0.04 = 50, あるいは 1/2.0 の誤り)であり、式が誤りです。
エ(8.0):
資本利益率 4%(0.04)と資本回転率 2.0 を掛け算した後、%に戻す処理を誤った可能性(0.04 × 2.0 = 0.08, 8%と解釈)があります。
難易度
本問は、経営分析の基礎であるデュポン分解の構造を理解していれば、計算自体は非常に簡単な問題です。しかし、財務指標の計算に慣れていない初学者にとっては、どの指標がどの関係にあるのかを正確に把握することが最初のハードルとなります。問題文に分解式が示されているため、その関係(資本利益率 = 売上高利益率 × 資本回転率)を使って代入し、求めたい値を正確に逆算できるかがポイントです。落ち着いて取り組めば確実に正解できます。
用語補足
資本利益率(ROE):
利益を資本(自己資本または総資本)で割った値で、企業が資本をいかに効率よく使って利益を上げているかを示す指標です。
売上高利益率:
利益を売上高で割った値で、売上に対してどれだけの利益が残ったか(儲けの効率)を示す指標です。
資本回転率:
売上高を資本で割った値で、資本をどれだけ効率よく回転させて売上を上げているかを示す指標です。
デュポン分解:
資本利益率のような重要な経営指標を、複数の構成要素(利益率、回転率など)に分解し、企業の強みや弱みを分析する手法です。
対策
財務分析の計算問題では、問題文に示された関係式をそのまま利用して、代入と逆算を行う練習をしましょう。特に、「利益率 × 回転率 = 効率性」という構造を持つ分解式(デュポン分解)は頻出します。計算ミスを防ぐために、%を小数(例: 4% = 0.04)に直して計算し、最後に%に戻す手順を踏むと確実です。

