問題
問10
企業経営で用いられるベンチマーキングの説明として, 適切なものはどれか。
- PDCAサイクルを適用して, ビジネスプロセスの継続的な改善を図ること
- 改善を行う際に, 比較や分析の対象とする最も優れた事例のこと
- 競合他社に対する優位性を確保するための独自のスキルや技術のこと
- 自社の製品やサービスを測定し, 他社の優れたそれらと比較すること
[出典:ITパスポート試験 平成31年度春期 問10]
正解
正解は「エ」です。
解説
経営戦略や品質管理で用いられるベンチマーキングの定義を問う問題です。正解は「エ」の「自社の製品やサービスを測定し, 他社の優れたそれらと比較すること」です。 ベンチマーキング(Benchmarking)とは、自社の業務プロセスや製品、サービスなどを、業界内の競合他社や、異業種であっても特に優れていると認められる企業(ベストプラクティス)の最高水準のやり方(ベンチマーク)と比較・分析する手法です。
この目的は、単に他社をコピーすることではなく、自社と最高の水準との間にどれだけのギャップ(差)があるのかを客観的に把握し、そのギャップを埋めるための具体的な改善目標や施策を見つけ出すことにあります。 例えば、自社のコールセンターの対応速度を業界トップクラスの企業の対応速度(ベストプラクティス)と比較し、自社の対応時間がなぜ長いのか、どうすれば改善できるのかを分析します。この手法は、企業が競争力を高め、継続的な改善(カイゼン)を実現するために非常に有効です。
ア(PDCAサイクルを適用して, ビジネスプロセスの継続的な改善を図ること):
これはPDCAサイクルそのものの説明であり、ベンチマーキングはPDCAのCheckやPlanの段階で活用される手法です。
イ(改善を行う際に, 比較や分析の対象とする最も優れた事例のこと):
これは「ベンチマーク」(比較対象となる最高の事例)の説明であり、ベンチマーキング(手法全体)の説明としては不十分です。
ウ(競合他社に対する優位性を確保するための独自のスキルや技術のこと):
これはコアコンピタンス(Core Competence)の説明であり、企業が持つ他社には真似できない核となる強みを指します。
難易度
この問題は、経営戦略や品質管理の分野(ストラテジ系)における重要な用語の定義を問うものです。ベンチマーキングという用語自体は馴染み深いかもしれませんが、選択肢「イ」(ベンチマークの定義)と「エ」(ベンチマーキングの定義)が紛らわしいため、正確な定義を理解していないと誤答しやすい可能性があります。しかし、「自社と他社を比較する」というベンチマーキングの核となる活動が明確に記述されているため、用語の目的を理解していれば正解は導き出せます。コアコンピタンスやPDCAサイクルといった他の経営用語との区別も重要です。
用語補足
ベンチマーキング:
自社の業務や製品を、業界のトップ企業やベストプラクティスと比較・分析し、自社の改善点や目標設定に役立てる手法です。例えば、自分の会社の物流システムを、世界一効率的なAmazonの物流システムと比較して、どこを改善すべきかを見つけ出す活動です。
PDCAサイクル:
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4段階を繰り返すことで、業務やプロセスの継続的な改善を図る管理手法です。例えば、新しいマーケティング施策を試す際に、計画→実行→効果測定→改善案作成を繰り返すことです。
コアコンピタンス:
他社には真似できない、企業の中核となる強みや能力のことです。競合他社との差別化や優位性を生み出す源泉となります。例として、「極めて小型化・軽量化できる技術力」などが該当します。
ベンチマーク:
ベンチマーキングを行う際に、比較対象とする最も優れている企業や事例、あるいは達成すべき最高水準の目標値そのものを指します。「水準器の目盛り」という意味で使われることが多いです。
対策
「ベンチマーキング」と「ベンチマーク」のように、関連性の高い用語について、その意味を明確に区別して理解することがこの問題のポイントです。経営戦略分野の用語は、似たような概念や頭文字略語が多いため、それぞれの「目的」と「具体的な活動内容」をセットで覚えるようにしてください。特に、PDCAサイクル、コアコンピタンス、KPI(重要業績評価指標)など、継続的改善や戦略策定に関わる用語は、設問文や選択肢で頻繁に登場するため、定義を正確に暗記しておくことが、得点アップにつながります。

