問題
問8
企業の事業展開における垂直統合の事例として、適切なものはどれか。
- あるアパレルメーカは工場の検品作業を関連会社に委託した。
- ある大手商社は海外から買い付けた商品の販売拡大を目的に、大手小売店を子会社とした。
- ある銀行は規模の拡大を目的に、M&Aによって同業の銀行を買収した。
- 多くのPC組立メーカが特定のメーカの半導体やOSを採用した。
[出典:ITパスポート試験 平成29年度春期 問8]
正解
正解は「イ」です。
解説
正解は選択肢イです。垂直統合とは、企業が自社の事業活動のサプライチェーンにおいて、上流(原材料調達や製造など)または下流(販売やアフターサービスなど)の工程を自社グループ内(子会社化や事業買収など)に取り込む経営戦略のことです。これにより、サプライチェーン全体をより効率的に管理し、コスト削減や品質向上、市場対応力の強化などを目指すことができます。
選択肢イの事例では、大手商社が自社の事業の下流にあたる「販売」の工程を、大手小売店を子会社化することで自社グループ内に取り込んでいます。これは「前方統合」と呼ばれる垂直統合の一種であり、商社が流通チャネルを直接コントロールし、販売戦略をより柔軟に実行できるメリットがあります。
ア(あるアパレルメーカは工場の検品作業を関連会社に委託した。):
これは、自社の業務の一部を外部(関連会社)に委託するアウトソーシングの事例であり、垂直統合とは異なります。
ウ(ある銀行は規模の拡大を目的に、M&Aによって同業の銀行を買収した。):
これは、同業他社を買収することで事業規模の拡大や市場シェアの獲得を目指す「水平統合」の事例です。垂直統合とは区別されます。
エ(多くのPC組立メーカが特定のメーカの半導体やOSを採用した。):
これは、特定の製品や技術が業界標準となる「デファクトスタンダード」の採用事例であり、企業の事業展開における垂直統合とは関係ありません。
難易度
この問題は、ITパスポート試験のストラテジ系で問われる経営戦略の基本用語である「垂直統合」に関する知識を問うものです。用語の定義と具体的な事例を結びつけて理解していれば、比較的容易に解答できます。特に「垂直統合」「水平統合」「アウトソーシング」といった関連用語との違いをしっかり区別できるかがポイントとなります。初学者の方でも、一つ一つの用語を丁寧に学習すれば十分に対応できる問題です。
用語補足
垂直統合:
企業が自社の事業活動におけるサプライチェーンの上流(原材料調達や製造など)または下流(販売やサービス提供など)の工程を自社の管理下に取り込む経営戦略です。例えば、パン屋さんが小麦粉を生産する農場を買ったり、自分のパンを売る店舗を増やしたりするようなイメージです。
水平統合:
企業が同業他社を買収したり合併したりして、事業規模の拡大や市場シェアの獲得を目指す経営戦略です。例えば、同じ種類のジュースを売っているA社とB社が合併して、より大きなジュース会社になるようなイメージです。
アウトソーシング:
自社の業務の一部または全部を外部の専門業者に委託することです。コスト削減や業務効率化、専門知識の活用などが主な目的です。例えば、会社がお弁当の配達を専門業者に頼んだり、給料計算を外部の税理士事務所に任せたりするようなケースです。
M&A:
Mergers (合併) and Acquisitions (買収) の略で、企業の合併や買収を意味します。経営戦略の一環として、事業の拡大や新規分野への進出、競争力の強化などのために行われます。複数の会社が一つになったり、ある会社が別の会社を買って自分のグループに入れるようなことです。
対策
経営戦略の分野では、「垂直統合」や「水平統合」のような専門用語が頻出します。これらの用語を理解する上で大切なのは、単に定義を覚えるだけでなく、具体的な企業活動の事例と結びつけてイメージすることです。どの選択肢がどのような経営戦略に該当するのかを判断できるように、それぞれの用語の意味を正確に把握し、様々な事例を通して知識を定着させることが重要です。特に、サプライチェーンのどこを自社に取り込むかで垂直統合かどうかが決まる点を押さえましょう。

