問題
問30
バリューエンジニアリングでは、消費者の立場から、製品が有する機能と製品に要する総コストの比率で製品の価値を評価する。バリューエンジニアリングの観点での総コストの説明として、適切なものはどれか。
- 新たな機能の研究や開発に要する費用
- 消費者が製品を購入してから、使用し廃棄するまでに要する費用
- 製品の材料費に労務費と経費を加えた製造に要する費用
- 製品の製造に用いる材料の調達や加工に要する費用
[出典:ITパスポート試験 平成29年度春期 問30]
正解
正解は「イ」です。
解説
バリューエンジニアリング(VE)における「総コスト」は、製品のライフサイクル全体で発生する全ての費用を指します。つまり、製品が生まれてから、使われ、最終的に廃棄されるまでの間に、消費者や企業が支払うお金の全てを含みます。
例えば、自動車を考えてみましょう。購入時の価格だけでなく、ガソリン代、修理費、車検費用、保険料、そして最終的に廃車にする際の費用まで、全てが総コストに含まれるという考え方です。この考え方によって、単に「安く作った」だけでなく、「長く使えて、維持費も安い」といった、消費者にとっての真の価値(バリュー)を評価できるようになります。 したがって、選択肢イの「消費者が製品を購入してから、使用し廃棄するまでに要する費用」が、バリューエンジニアリングにおける総コストの最も適切な説明です。
ア(新たな機能の研究や開発に要する費用):
これは「製造コスト」の一部や「初期投資」に関連しますが、製品のライフサイクル全体を通じた消費者の総コストではありません。
ウ(製品の材料費に労務費と経費を加えた製造に要する費用):
これは「製造コスト」や「生産コスト」と呼ばれるもので、製品が市場に出るまでの費用の一部を指します。消費者が購入後に発生する費用は含まれません。
エ(製品の製造に用いる材料の調達や加工に要する費用):
これは製造コストの中でも特に「材料費」や「加工費」といった部分であり、総コスト全体から見るとごく一部の費用です。
難易度
この問題はバリューエンジニアリングの基本的な概念、特に「総コスト」の定義を理解しているかを問うものです。問題文が「消費者の立場から」と明記しているため、製品のライフサイクル全体を考慮する視点が重要になります。専門知識がなくても、日常的な買い物や所有物の「お得感」を考えることに近いので、考え方さえ理解すれば比較的解きやすい問題と言えるでしょう。
用語補足
バリューエンジニアリング (VE):
製品やサービスの「価値」を、その「機能」と、それを実現するためにかかる「コスト」の比率(価値=機能/コスト)としてとらえ、この価値を向上させるための体系的な手法です。例えば、携帯電話の機能を維持したまま、製造コストを下げる、あるいは同じコストでより便利な機能を追加するといった活動が該当します。
総コスト:
バリューエンジニアリングにおいては、製品が企画・開発されてから、生産され、流通し、消費者が購入して使用し、最終的に廃棄されるまでのライフサイクル全体で発生する全ての費用を指します。単に製造にかかる費用だけでなく、維持管理費や廃棄費用まで含めて考えます。
機能:
製品やサービスが持つ、特定の目的を達成するための役割や性能のことです。例えば、スマートフォンの「通話する」「インターネットに接続する」「写真を撮る」といったものが機能に当たります。
コスト:
製品やサービスを作るため、または利用するためにかかる費用や資源のことです。材料費、人件費、運送費、電気代など、様々な形のお金や労力を指します。
対策
バリューエンジニアリング(VE)のポイントは「消費者の立場から価値を評価する」という視点です。問題文に「消費者の立場から」と明記されている場合は、製品の製造側にかかる費用だけでなく、購入後の維持費や廃棄費用まで含めた「ライフサイクルコスト」を考慮した選択肢を選ぶようにしましょう。この視点を理解していれば、正しい選択肢を見つけやすくなります。

