問題
問27
企業の業務と情報システムの現状を把握し、目標とするあるべき姿を設定して、全体最適を図りたい。このときに用いられる手法として、適切なものはどれか。
- SaaS (Software as a Service)
- EA (Enterprise Architecture)
- OOA (Object Oriented Analysis)
- SOA (Service Oriented Architecture)
[出典:ITパスポート試験 平成28年度春期 問27]
正解
正解は「イ」です。
解説
正解はEA(Enterprise Architecture)です。EAとは、企業の業務全体と情報システム全体を一つのまとまりとして捉え、現状を分析し、将来的に目指すべき理想の姿を描き、その実現に向けた計画を策定する手法のことです。これは、組織の業務プロセス、データ、アプリケーション、技術基盤といった多岐にわたる要素を統合的に管理し、最適化を図ることを目的としています。
例えるなら、会社全体を一つの大きな建物を建てるプロジェクトだと考えると、EAはその建物の設計図にあたります。現状の建物の状態を把握し、住みやすい理想の建物を描き、それを実現するための建築計画を立てるようなイメージです。これにより、IT投資の最適化や業務効率の向上、変化への迅速な対応などが可能になります。
ア(SaaS (Software as a Service)):
SaaSは、ソフトウェアをインターネット経由でサービスとして利用する形態です。企業全体の現状把握や目標設定の手法ではありません。
ウ(OOA (Object Oriented Analysis)):
OOAは、オブジェクト指向分析の略で、システム開発における設計手法の一つです。企業全体の業務や情報システムを俯瞰する手法とは異なります。
エ(SOA (Service Oriented Architecture)):
SOAは、サービス指向アーキテクチャの略で、システムを部品(サービス)の組み合わせとして構築する考え方です。企業全体の最適化を図るための包括的な手法ではありません。
難易度
この問題の難易度は、中程度と考えられます。ITパスポート試験で頻出するIT戦略関連の用語知識が問われますが、各用語の概念を正確に理解していないと、混同しやすい選択肢が含まれています。特に、EA、OOA、SOAのような略語は、似たような響きを持つため、それぞれの定義と目的をしっかり把握しておく必要があります。初学者の方にとっては、それぞれの用語が持つ具体的な意味や、どの階層で利用される概念なのかを区別することが重要になります。
用語補足
EA (Enterprise Architecture):
EAとは、企業全体の業務内容や情報システムを「見える化」し、将来的に目指すべき理想の姿と、そこに至るまでの計画を立てるためのフレームワークです。例えば、会社全体の改築を計画する際に、業務の流れ、使うシステム、必要なデータ、使う技術などを全て洗い出し、理想の状態を設計図として描くようなものです。
SaaS (Software as a Service):
SaaSは、インターネットを通じてソフトウェアをサービスとして利用する形態のことです。ユーザーは自分のコンピュータにソフトウェアをインストールする必要がなく、Webブラウザなどからアクセスして利用します。例えば、GoogleドキュメントやZoomのような、Web上で提供されるアプリケーションがこれに該当します。
OOA (Object Oriented Analysis):
OOAとは、システム開発の手法の一つで、現実世界のものを「モノ(オブジェクト)」として捉え、それらが持つ特徴や関係性を分析するものです。例えば、ECサイトを作る際に「顧客」「商品」「注文」といったモノに分け、それぞれがどのようなデータを持つか、どんな操作ができるかを考えるような手法です。
SOA (Service Oriented Architecture):
SOAは、情報システムを独立した「サービス」の集合体として設計する考え方です。各サービスは特定の機能を提供し、必要に応じて組み合わせて利用されます。例えば、銀行システムで「預金管理サービス」「送金サービス」といった機能を個別の部品として作り、それらを連携させて様々なサービスを提供するイメージです。
対策
この問題を解くためのポイントは、各アルファベット略語が指すIT用語の意味と、それが「企業全体の現状把握と目標設定、全体最適化」という目的とどう結びつくかを理解することです。特に、EA、OOA、SOAは似たような略語ですが、EAは企業全体の戦略的な視点、OOAは個別のシステム開発手法、SOAはシステム連携のアーキテクチャという違いを明確に区別することが重要です。日頃からIT用語を学ぶ際は、単語の意味だけでなく、それがどのような目的で、どの範囲に適用される概念なのかを意識して学習すると良いでしょう。

