問題
問52
業務システムの開発において,開発者がシステム要件定義を実施する場合,利用者の関わり方として,最も適切なものはどれか。
- 開発者が行うシステム要件のレビューに参加し,妥当性を確認する。
- 開発者に全て任せ,その決定に従う。
- システムの保守が可能かどうかを見極める。
- システム要件の技術的な実現性を検証する。
[出典:ITパスポート試験 令和8年度 問52]
正解
正解は「ア」です。
解説
正解は「ア」です。システム要件定義とは、どのようなシステムを作るかを決める非常に重要な工程です。この段階で「使いにくい」「本当に必要な機能がない」といった齟齬(そご)が生じると、後の開発で修正に大きなコストがかかってしまいます。そのため、実際にシステムを使う利用者が、開発者が作成した要件のレビュー(検討会)に参加することは極めて重要です。
例えるなら、注文住宅を建てる際に、建築家(開発者)が作った設計図に対して、施主(利用者)が「ここにコンセントが欲しい」「この動線は使いにくい」と意見を出し、完成イメージが合致しているか確認する作業と同じです。利用者が妥当性を確認することで、期待通りのシステムが出来上がり、手戻りを防ぐことができます。開発者だけに任せず、利用者が主体的に関与することで、ビジネス上の目的を確実に達成できるシステムが構築されます。
イ(開発者に全て任せ,その決定に従う。):
要件の決定を開発者に一任すると、利用者の真のニーズが反映されず、業務に不適合なシステムが完成するリスクが高まります。
ウ(システムの保守が可能かどうかを見極める。):
システムの保守可能性を判断するのは、主にシステムの運用・保守技術を持つ専門家であり、利用者の主たる役割ではありません。
エ(システム要件の技術的な実現性を検証する。):
技術的な実現性の検証は、開発技術に長けた開発者側の責任範囲であり、利用者が行うべき主な作業ではありません。
難易度
この問題は、システム開発の基本的な工程である「要件定義」における、利用者と開発者の役割分担を理解しているかを問うものです。ITパスポートの試験範囲の中でも頻出かつ重要な概念であり、実務的な常識からも判断しやすいため、初心者にとっても難易度は低く、ぜひ正解したい問題です。
用語補足
システム要件定義:
システムでどのような機能や性能を実現するかを具体的に定める工程です。家を建てる前の「どんな部屋をいくつ作り、キッチンはどこにするか」を決める設計図作りと同じです。
レビュー:
作成された成果物(ドキュメントやプログラムなど)の内容が妥当か、間違いがないかを複数のメンバーで確認・審査することです。校正やチェックのような工程です。
手戻り:
開発の後の工程で見つかった不備を修正するために、前の工程に戻って作業をやり直すことです。料理で最後に味付けをしてから「下準備が間違っていた」と気づいて最初からやり直すような、大きな損失です。
保守:
システムが稼働した後に、不具合の修正や、環境の変化に伴う機能変更を行い、正常な状態を維持し続けることです。車でいう定期的なオイル交換や点検に当たります。
対策
システム開発において「誰が何に責任を持つか」を意識するのがポイントです。開発者は「技術」を提供し、利用者は「業務の知識とニーズ」を提供します。双方が適切にコミュニケーションを取ることが成功の鍵です。レビュー参加といった協力姿勢が、IT開発の現場では最も重要であることを理解しておきましょう。

