問題
問31
リーン生産方式による業務改善の観点であるムリ,ムラ,ムダのうち,ムダに当たるものとして,最も適切なものはどれか。
- 属人化していて,担当者によって作成物の品質が異なる作業
- 組織の能力以上に負荷をかける無謀な計画や作業標準
- 待機や必要以上の加工など,付加価値を生まない動作
- 長時間,身体の一部に負担がかかり,健康を害するおそれのある作業
[出典:ITパスポート試験 令和8年度 問31]
正解
正解は「ウ」です。
解説
正解は、選択肢「ウ」です。リーン生産方式では、付加価値を生まない作業を徹底的に排除することを目的としています。この中で「ムダ」とは、リソースを投入しているにもかかわらず、顧客にとっての価値(利益)につながっていない要素を指します。
具体的には、作業者が次の工程を待っている「手待ち(待機)」や、本来必要のない過剰な工程を行う「加工のムダ」などがこれに該当します。 これを日常の例で例えると、料理を作る際に「お湯が沸くのをただじっと見ているだけの時間(待機)」や、「食べやすさには関係ないのに、野菜を必要以上に細かく刻みすぎる(過剰加工)」といった状態です。これらは時間をかけて作業をしていても、料理の完成を早めるわけでも、食べる人の満足度を劇的に高めるわけでもありません。
リーン生産方式では、このような「一生懸命やっても意味がないこと」を「ムダ」と定義し、それを見つけて減らすことで全体の効率化を図ります。この選択肢は、付加価値を生まずに時間や労力を浪費している状態を的確に説明しているため、正解となります。
ア(属人化していて,品質が異なる作業):
これは作業のやり方や結果にバラツキがある状態を指しており、「ムラ」に該当します。特定の人がいないと仕事が進まない不安定な状態です。
イ(能力以上に負荷をかける計画や標準):
これは人や設備の能力限界を超えた負担を強いている状態であり、「ムリ」に該当します。品質低下や設備の故障、ミスの原因になります。
エ(健康を害するおそれのある作業):
これも身体的・精神的な限界を超えて負担をかけているため、「ムリ」に該当します。安全衛生上の問題であり、持続可能な業務を妨げる要因です。
難易度
「ムリ・ムラ・ムダ」という言葉は、私たちの日常生活でも馴染みがあるため、特別なIT知識がなくても、それぞれの漢字のニュアンスから正解を推測しやすいからです。初心者の方でも、選択肢を一つずつ「これは無理をさせていないか?」「バラツキではないか?」と丁寧に確認していけば、確実に得点できる問題と言えます。
用語補足
リーン生産方式:
トヨタ生産方式を基にした、徹底的に効率を追求する手法です。例えば、必要なものを必要な時に必要な分だけ作ることで、不要な在庫をなくします。
ムダ:
リソースを使っているのに価値を生まない状態です。例えば、書類の承認を待つために仕事が止まっている時間は、何も生み出さない典型的なムダです。
属人化:
特定の担当者にしか業務内容が分からない状態です。例えば、「あのベテランさんが休むと、この機械の使い方が誰も分からない」という状況がこれです。
付加価値:
作業によって新しく加わった価値のことです。例えば、ただの布が「カバン」に縫い合わされることで、物を運べるという便利な価値が生まれます。
対策
この問題を解くためのポイントは、「ムリ・ムラ・ムダ」の3つをセットで整理して覚えることです。「能力オーバー=ムリ」「バラツキ=ムラ」「価値なし=ムダ」と自分なりに短い言葉で定義しておきましょう。また、リーン生産方式には「7つのムダ」という代表的な分類があることも知っておくと、類似問題が出た際にも迷わず回答できるようになります。

