問題
問15
マーケティングにおけるイノベーター理論では,新しい製品やサービスが普及していく過程に沿って,消費者を,イノベーター,アーリーアダプター,アーリーマジョリティ,レイトマジョリティ,ラガードという五つのグループに分ける。このとき,アーリーアダプターからアーリーマジョリティへの普及において生じる,越えることが困難な隔たりを表す用語として,最も適切なものはどれか。
- カニバリゼーション
- キャズム
- 死の谷
- レッドオーシャン
[出典:ITパスポート試験 令和8年度 問15]
正解
正解は「イ」です。
解説
正解は「キャズム」です。イノベーター理論では、新しい商品やサービスが世の中に普及していくプロセスにおいて、消費者をその受け入れの早さによって「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つのグループに分類します。
キャズム(Chasm)とは、英語で「深い溝」を意味し、この中の「アーリーアダプター(新しいものを好む層)」から「アーリーマジョリティ(実利を重視する慎重な層)」へと普及が広がる際に直面する、非常に深くて越えがたい大きな障壁のことを指します。
例えば、新しいスマートフォンが登場した際、新し物好きの人たちが使い始めても、一般的な利用者が「今のままで十分だ」「使いこなせるか不安だ」と感じてなかなか買い替えない状況がこれにあたります。多くの斬新なサービスがこの溝を越えられずに消えていきますが、ここを乗り越えることで初めて市場全体へと爆発的に普及し、一般的なヒット商品となります。つまり、マニア向けの世界から一般社会へ浸透できるかどうかの最大の試練を意味する重要な概念です。
ア(カニバリゼーション):
自社の新製品が自社の既存製品のシェアを奪ってしまう、いわゆる「共食い」の状態を指す用語ですので、普及の隔たりとは異なります。
ウ(死の谷):
技術開発が成功しても、それを製品化して事業化するまでに直面する、資金不足などの困難な段階を指す言葉です。
エ(レッドオーシャン):
競争相手が非常に多く、激しい価格競争などが行われている、血で血を洗うような既存の厳しい市場環境を指します。
難易度
マーケティング用語としての「キャズム」は、ITパスポート試験におけるストラテジ系の問題では非常によく出題される頻出キーワードです。初心者の方には横文字が多くて難しく感じるかもしれませんが、「初期市場と一般市場の間の大きな溝」というイメージを具体例と結びつけて覚えておけば、確実に正解が選べる問題です。
用語補足
イノベーター理論:
新商品が普及する過程を消費者のタイプ別に分析した理論です。例えば、発売日に並んで買う「新し物好き」から、最後まで買わない「保守派」までを分類します。
アーリーアダプター:
流行に敏感で、自分なりに価値を判断して新しいものを取り入れる層です。SNSのインフルエンサーなどがこの層にあたります。
アーリーマジョリティ:
新しいものを導入するのに少し慎重ですが、周りの多くの人が使い始めると購入する、市場の中で大きな割合を占める層のことです。
ブルーオーシャン:
レッドオーシャンの対義語で、競合相手がいない、あるいは極めて少ない未開拓の新しい市場のことです。独自の価値で戦う「青い海」を指します。
対策
対策として、まずはイノベーター理論の5つの層の名称を順番通りに整理しましょう。特に「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間にキャズム(溝)が存在するという位置関係を正確に覚えることがポイントです。また、カニバリゼーションや死の谷など、他の「壁」や「課題」を表すマーケティング用語と混同しないよう、それぞれの意味をセットで暗記しておきましょう。

