問題
問43
営業部門の営業員が出張する際の出張旅費の手続に関して、組織間でけん制を日常的に実施している状況の記述として、最も適切なものはどれか。
- 営業員が出張後に経理部門に提出した旅費精算の書類と証票類について、経理担当者が適切な内容であることを審査し、経理課長が承認する。
- 営業員が出張後に旅費の精算を行い、上長が承認を行う。経理部門では承認済みであるので支払を行う。
- 営業員は出張の事前申請を行って上長の承認を得た後に、切符や宿泊施設の手配を旅行会社に依頼する。
- 会計年度における営業部門の旅費精算の書類と証票類から、監査人がサンプリングして、営業員の処理内容の適切性を確認する。
[出典:ITパスポート試験 令和7年度 問43]
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正解
正解は「ア」です。
解説
正解は「ア」です。この選択肢では、営業員が提出した旅費精算書と証票類に対して、経理部門の担当者が内容を確認し、さらに経理課長が承認を行うという手続きになっています。これは「職務の分掌」に基づく内部けん制(内部統制)の良い例です。
すなわち、営業員が申請し、経理担当が審査、そして別の立場にある経理課長が最終承認を行うことで、不正やミスの防止につながります。日常的にけん制を実施する体制を整えることは、組織全体の信頼性や透明性を確保するうえでも重要です。これにより、不正な旅費の請求や経理処理の誤りを未然に防ぐことができます。
イ(営業員が出張後に旅費の精算…):
申請者と承認者が営業部門内で完結しており、経理部門による独立したチェックがないため、内部けん制が不十分です。
ウ(事前申請をして承認後に手配):
これは事前申請のプロセスに関する内容であり、「日常的にけん制を実施しているか」には直接関係しません。
エ(監査人がサンプリングして確認):
これは監査段階での確認であり、日常業務でのけん制とは異なります。発見は事後的であり、抑止力としては弱くなります。
難易度
この問題は、実務での経理処理や内部統制の基礎を問う内容で、組織運営の基本的な理解が必要です。IT知識というよりは、事務処理の常識やけん制の意義を問うため、社会人経験があると解きやすいですが、未経験者にとっても選択肢の違いをしっかり読むことで判断が可能です。
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用語補足
けん制(内部けん制):
業務の不正や誤りを防止するために、複数の部門や担当者が相互にチェックし合う仕組みです。たとえば、申請・審査・承認を別の担当が行うなどが典型です。
旅費精算:
出張にかかった費用(交通費・宿泊費など)について、出張者が経費を申請・報告し、企業側が確認・精算する手続きです。
対策
内部統制に関する問題は、ITパスポートでも頻出です。けん制の仕組みや職務分掌の基本を理解し、どのような体制が不正防止に有効かを押さえましょう。実際の業務フローや経理プロセスの例を図などで学ぶと効果的です。