問題
問41
あるプロジェクトの作業間の関係と所要時間がアローダイアグラムで示されている。
このアローダイアグラムのBからの四つの結合点のうち、工程全体の完了時間に影響を与えることなく、その結合点から始まる作業が最も遅く始まることができるものはどれか。ここで、各結合点から始まる作業はその結合点に至る作業が全て完了するまで開始できず、作業から次の作業への段取り時間は考えないものとする。

- B
- C
- D
- E
[出典:ITパスポート試験 令和6年度 問41]
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正解
正解は「エ」です。
解説
クリティカルパス(Critical Path)とは、プロジェクト全体の完了時間を決定する、最も長い所要時間を要する作業の経路です。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅れるため、これらの作業は余裕を持って遅らせることはできません。クリティカルパスに含まれない作業は、多少遅らせても全体の完了時間に影響を与えません。
■アローダイヤグラムを読み解く
アローダイヤグラムでは、各作業の所要時間が与えられています。
次の経路を考えると、クリティカルパスが分かります。
各経路の作業時間を合計すると以下の通り:
- A → B → D → F(15 + 10 + 20 = 45)
- A → B → D → E →F(15 + 10 + 10 + 15 = 50)
- A → B → E → F(15 + 25 + 15 = 55) ← クリティカルパス
- A → C → E → F(10 + 15 + 15 = 40)
最も長い時間を要する経路がクリティカルパスです。
この場合、「A → B → E → F」の55時間が最長であり、この経路がクリティカルパスになります。
Cの作業が遅れても良い理由
- Cから始まる作業は、クリティカルパスには含まれていません。
- Cが遅れても、全体のスケジュールに影響を与えない。
- そのため、「C」の作業は最も遅く開始することが可能です。
ア (B):
Bはクリティカルパス上の重要な結合点の一つであり、ここでの遅延はプロジェクト全体の完了時期に影響を及ぼす可能性があります。
ウ (D):
DはEと同様にクリティカルパス上にあり、作業の遅延がプロジェクト全体に影響を及ぼすため、最も遅らせることができる結合点とは言えません。
エ (E):
Eもまたクリティカルパス上に位置するため、作業の遅延が全体のスケジュールに影響を与える可能性が高いです。
難易度
やや難しい
アローダイアグラムの読み方やスラック時間の概念を理解している必要があるため、やや難しい問題と言えます。また、複数の結合点を比較しながら適切な選択肢を判断する能力が求められます。
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用語補足
アローダイアグラム
プロジェクトの作業スケジュールを視覚的に表現する図表で、作業の開始・終了点や作業間の依存関係を矢印で示します。例えば、A→Bの矢印は「Aが完了しないとBを開始できない」という依存関係を示します。
自由余裕時間
特定の作業を遅らせても後続作業や全体のスケジュールに影響を与えない余裕時間のことです。
対策
- アローダイアグラムの練習
基本的な読み方と経路計算の練習を行い、重要な結合点や作業の特定ができるようにします。 - クリティカルパスの理解
最長経路(クリティカルパス)を見つける方法を学び、全体に影響を与える経路とそうでない経路を区別できるようにします。 - 余裕時間の計算
各作業における自由余裕時間と全体余裕時間(トータルフロート)を計算する練習を行い、影響が少ない作業を素早く見つけられるようにします。