問題
問41
次のアローダイアグラムに基づき作業を行った結果、作業 D が2日遅延し、作業 F が3日前倒しで完了した。作業全体の所要日数は予定と比べてどれくらい変化したか。

- 3日遅延
- 1日前倒し
- 2日前倒し
- 3日前倒し
[出典:ITパスポート試験 令和5年度 問41]
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正解
正解は「ウ」です。
解説
1. アローダイアグラムの基本
アローダイアグラムは、プロジェクト管理で用いられる手法の一つで、作業の流れ(タスク)とそれにかかる時間を視覚的に表します。この問題では、作業Dが 2日遅延 し、作業Fが 3日前倒し になった影響を考慮して、作業全体の所要日数がどう変化するかを判断します。
2. クリティカルパスの特定
プロジェクトの所要日数を決めるのは クリティカルパス(最も時間がかかる作業の流れ)です。クリティカルパスに含まれる作業が遅延すると、プロジェクト全体が遅れ、前倒しになると、プロジェクトの完了日が早まります。
図を見ると、作業の流れとして以下のような経路が考えられます。
経路と所要日数
- 経路1: A → C → F → G(2 + 4 + 3 + 5 = 14日)
- 経路2: A → B → D → F → G(2 + 3 + 1 + 3 + 5 = 14日)
- 経路3: A → B → E → G(2 + 3 + 5 + 5 = 15日)
このうち、最も日数が長い 「A → B → E → G(15日)」 がクリティカルパスです。
3. 変更の影響
作業Dの遅延と作業Fの前倒しがどのように影響するかを確認します。
ただし、クリティカルパスである「A → B → E → G」は影響を受けないため、クリティカルパスの所要日数は 3日短縮される ことになります。
作業Dの2日遅延
Dは「A → B → D → F → G」の経路に含まれます。
しかし、この経路はクリティカルパスではないため、Dの遅延はプロジェクト全体には影響しません。
作業Fの3日前倒し
作業Fは 2つの経路(「A → C → F → G」と「A → B → D → F → G」) に含まれます。
Fが3日前倒しになると、これらの経路の所要日数が短縮されます。
4. 結果と正解
クリティカルパスの所要日数が 15日から2日短縮され、13日 になるため、 「2日前倒し」 が正解となります。
ア(3日遅延):
作業Dの遅延を考慮しても、作業Fの前倒しが影響するため、作業全体の遅延にはなりません。
イ(1日前倒し):
作業Fの前倒しは3日であり、作業Dの遅延が2日なので、合計で2日前倒しとなり、この選択肢は誤りです。
エ(3日前倒し):
作業Fが3日前倒しになっていますが、作業Dの2日遅延の影響があるため、全体の所要日数の短縮は2日となります。
難易度
やや難しい
クリティカルパスの理解と計算が必要なため、アローダイアグラムに慣れていないと正確に解答するのが難しい問題です。
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用語補足
アローダイアグラム:
プロジェクト管理の手法の一つで、作業の流れを矢印で示し、それぞれの所要時間を記載することで、スケジュール管理を行うための図です。
クリティカルパス:
プロジェクト全体の所要日数を決定する最も長い作業の流れです。このパス上の作業の遅延や前倒しは、全体のスケジュールに直接影響を与えます。
対策
- アローダイアグラムの基本的な作成方法を学び、クリティカルパスの概念を理解しましょう。
- 作業の前倒しや遅延がクリティカルパスに与える影響を考えながら、計算する練習を行いましょう。
- プロジェクト管理の他の手法(PERT図、ガントチャートなど)と比較し、それぞれの用途を理解しておくと試験対策として有効です。