問題
問54
システム開発プロジェクトにおいて、テスト工程で使用するPCの納入が遅れることでテスト工程の終了が遅れるリスクがあり、対応策を決めた。リスク対応を回避、軽減、受容、転嫁の四つに分類するとき、受容に該当する記述として、最も適切なものはどれか。
- 全体のスケジュール遅延を防止するために、テスト要員を増員する。
- テスト工程の終了が遅れても本番稼働に影響を与えないように、プロジェクトに予備の期間を設ける。
- テスト工程の遅延防止対策を実施する費用を納入業者が補償する契約を業者と結ぶ。
- テスト工程用のPCがなくてもテストを行える方法を準備する。
[出典:ITパスポート試験 令和2年度 問54]
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正解
正解は「イ」です。
解説
正解となる「テスト工程の終了が遅れても本番稼働に影響を与えないように、プロジェクトに予備の期間を設ける」は、リスク対応の「受容」に該当します。リスク対応における「受容」とは、リスクが発生する可能性を認識した上でその影響を許容し、あえて対応を行わない方針を取ることを指します。
この場合、テスト工程の遅延が起こる可能性を考慮し、予備期間を設けることでリスクを許容しつつも、プロジェクト全体の本番稼働スケジュールには影響が出ないようにする対応策となっています。例えば、イベント開催日に悪天候の可能性を考慮して予備日を設定するのと同じ考え方です。
- ア(全体のスケジュール遅延を防止するために、テスト要員を増員する):
これはリスク対応の「軽減」に該当します。軽減はリスクの発生確率や影響を減らす対応策であり、リスク自体を許容する「受容」とは異なります。 - ウ(テスト工程の遅延防止対策を実施する費用を納入業者が補償する契約を業者と結ぶ):
これはリスク対応の「転嫁」に該当します。転嫁はリスクの影響を他者に移す対応策であり、この選択肢も「受容」とは異なります。 - エ(テスト工程用のPCがなくてもテストを行える方法を準備する):
これはリスク対応の「回避」に該当します。回避はリスクそのものが発生しないようにする対応策であり、こちらも「受容」ではありません。
難易度
この問題の難易度は中程度です。リスク対応策の分類について基本的な理解が求められるため、初心者には少し難しい場合がありますが、リスク対応の各分類とその具体例をしっかり押さえていれば解答可能です。また、他の選択肢の内容を正確に判別できる力も必要です。
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用語補足
リスク対応:
プロジェクトにおけるリスク(危険性や問題)の発生に備え、それに対処するための方法のことです。「回避」「軽減」「受容」「転嫁」などの分類があり、それぞれ異なるアプローチを取ります。
受容:
発生が予測されるリスクを受け入れ、その影響を許容する方針を指します。対策が困難または費用対効果が低い場合に選択されることが多いです。
対策
この問題に対応するためには、リスク対応策の「回避」「軽減」「受容」「転嫁」の違いを理解し、それぞれの具体例を押さえることが重要です。また、プロジェクトマネジメントにおける実例を参考にすると、各分類をイメージしやすくなります。問題文に記載されているキーワードに注目し、選択肢を正確に分類できる練習を心がけましょう。