問題
問47
ソフトウェアの品質を判定する指標として、機能単位の不良件数をその開発規模で割った値を“不良密度”と定義する。不良密度の下限値と上限値を設定し、実績値がその範囲を逸脱した場合に問題ありと判定するとき、A工程では問題がなく、B工程で問題があると判定される機能はどれか。ここで、不良密度の下限値は0.25件/KS、上限値は0.65件/KSとする。また、不良密度の下限値、上限値及び開発規模は、両工程とも同じとする。

[出典:ITパスポート試験 令和元年度 問47]
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正解
正解は「エ」です。
解説
本問はソフトウェア開発における「不良密度」を計算し、品質が許容範囲に収まっているかどうかを評価する問題です。不良密度は「不良件数 ÷ 開発規模(KS)」で求められ、判定基準は 0.25件/KS 以上 0.65件/KS 以下です。
選択肢エ(機能4)の不良密度は、A工程では 32 ÷ 80 = 0.4 で基準内ですが、B工程では 8 ÷ 80 = 0.1 となり、下限の 0.25 を下回っています。したがって、「A工程では問題がなく、B工程で問題がある」条件に合致するのは選択肢エです。
このような品質評価は、工程別に管理を行うことで、開発プロセスのどこに問題があるかを特定し、改善へとつなげることができます。特にソフトウェア品質保証の観点から、こうした指標は重要な役割を果たしています。
ア(機能1):
A工程の不良密度は 6/10 = 0.6、B工程は 3/10 = 0.3。どちらも基準内であり、B工程に問題はありません。
イ(機能2):
A工程の不良密度は 14/20 = 0.7 で上限超え、B工程は 10/20 = 0.5 で問題なし。A工程に問題があるため条件不一致です。
ウ(機能3):
A工程の不良密度は 10/50 = 0.2、B工程は 40/50 = 0.8。A工程が下限未満、B工程が上限超えで両方問題あり。条件不一致です。
難易度
この問題は数値計算と条件判定が求められるため、IT初心者にとってはやや難易度が高い部類に入ります。ただし、不良密度の定義さえ理解していれば、丁寧に計算することで確実に正解にたどり着ける構成となっています。
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用語補足
不良密度:
開発規模あたりにどれだけの不良があるかを示す指標です。不良密度 = 不良件数 ÷ 開発規模(KS)で算出され、ソフトウェアの品質評価に用いられます。
開発規模(KS):
ソフトウェア開発で扱う規模の単位の一つで、K(キロ)ステップ数、つまり1000ステップのプログラムコード量を示します。
品質管理:
システムやソフトウェアの開発において、製品が要求された品質を満たすように管理・維持する活動です。指標の設定やレビュー、不良分析などが行われます。
対策
この種の問題では、品質管理の基本指標である「不良密度」の意味と計算方法を正確に理解しておくことが重要です。問題文で与えられた上下限と計算対象をしっかり見極め、落ち着いて数値を代入して判断する力を養っておきましょう。