問題
問44
業務処理時間の短縮を目的として、運用中の業務システムの処理能力の改善を図った。この改善が有効であることを評価するためにシステム監査を実施するとき、システム監査人が運用部門に要求する情報として、適切なものはどれか。
- 稼働統計資料
- システム運用体制
- システム運用マニュアル
- ユーザマニュアル
[出典:ITパスポート試験 令和元年度 問44]
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正解
正解は「ア」です。
解説
この問題では、業務システムの処理能力向上に対する改善の有効性を評価するため、システム監査人がどのような情報を運用部門に要求するべきかが問われています。ここでのポイントは「処理時間の短縮が本当に達成されているか」を客観的に評価するために必要な情報が何かという点です。
この目的に合致するのが「稼働統計資料」です。稼働統計資料には、システムのCPU使用率、ジョブの実行時間、スループット(処理能力)、レスポンスタイムなどが記録されており、これらの数値データを分析することで、処理性能の変化を定量的に評価することができます。
一方、システム運用体制や運用マニュアルは「どう運用しているか」の組織や手順に関する情報、ユーザマニュアルは利用者向けの操作説明であり、処理性能の改善評価には直接結び付きません。
イ(システム運用体制):
体制の構成や責任範囲を示すもので、性能改善の効果を定量的に示す資料ではありません。
ウ(システム運用マニュアル):
運用作業の手順を記述した文書であり、システム性能の変化を確認するための数値データは含まれていません。
エ(ユーザマニュアル):
エンドユーザ向けの操作手順書であり、システム処理性能の測定や評価とは関係がありません。
難易度
本問は、システム監査に関連した実務的な判断を要する問題であり、実際にどの資料が目的達成に有用かを見極める力が求められます。基本用語とその活用場面の知識があれば難易度は低く感じられるため、初学者にも比較的取り組みやすい問題です。
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用語補足
稼働統計資料:
システムのCPU使用率やメモリ使用率、ジョブ処理時間、スループットなどの稼働状況をまとめた資料で、性能評価に使われます。
システム監査:
情報システムが適切に運用・管理されているかを第三者的に確認・評価する活動です。処理性能やリスク対応状況なども対象です。
運用マニュアル:
システムの管理者が行う日常的な操作や対応手順を記載した文書です。バックアップ方法や障害対応なども含まれます。
対策
システム監査で扱う資料やその役割を理解し、どのような目的でどの資料が必要かを判断できるようにしましょう。特に稼働統計資料、監査ログ、体制図などは頻出の用語です。実務的な場面を想定した問題に強くなるためには、具体的な利用シーンも併せて学習することが効果的です。