問題
問38
システム開発プロジェクトの開始時に、開発途中で利用者から仕様変更要求が多く出てプロジェクトの進捗に影響が出ることが予想された。品質悪化や納期遅れにならないようにする対応策として、最も適切なものはどれか。
- 設計完了後は変更要求を受け付けないことを顧客に宣言する。
- 途中で遅れが発生した場合にはテストを省略してテスト期間を短縮する。
- 変更要求が多く発生した場合には機能の実装を取りやめることを計画に盛り込む。
- 変更要求の優先順位の決め方と対応範囲を顧客と合意しておく。
[出典:ITパスポート試験 令和元年度 問38]
正解
正解は「エ」です。
解説
システム開発において、途中で顧客からの仕様変更要求が発生することはよくあることです。そのため、プロジェクトマネジメントでは、変更管理の仕組みをあらかじめ整備し、影響を最小限に抑えることが重要です。
選択肢「エ」は、変更要求が出た場合に備えて「優先順位の決定方法」と「対応可能な範囲」を事前に顧客と合意しておく対応策です。この方法を取ることで、仕様変更が発生してもプロジェクトの進行に大きな影響を与えず、品質や納期を守るための調整がしやすくなります。
一方、変更を一切受け付けない、テストを省略する、機能削除を盛り込むといった対策は、顧客満足や品質維持の観点から望ましくありません。特にテスト省略は致命的なバグの原因にもなるため、リスクが高い対応です。
ア(変更要求を受け付けない…):
現実的には仕様変更は発生し得るため、完全に拒否する姿勢は顧客満足や柔軟性に欠けるため不適切です。
イ(テストを省略して…):
テスト工程の省略は品質を大きく損なう可能性があり、問題の本質的な解決にはなりません。
ウ(機能の実装を取りやめる…):
仕様変更に対応する策としては短絡的で、顧客との事前合意もなく変更するのはリスクが高く不適切です。
難易度
この問題は、プロジェクトにおける「変更管理」の基本方針について理解していれば正解しやすい内容です。プロジェクトの失敗要因としてよく挙げられる「要求の変化」に対して、柔軟かつ合理的に対応する方法が求められます。初学者にとっても中程度の難易度です。
用語補足
仕様変更:
システム開発の途中で、機能・画面・性能などの要件に対して変更が加えられること。顧客要望や外部環境の変化などにより発生します。
変更管理:
プロジェクトにおいて、変更要求を受け入れるかどうかを評価し、必要な対応を決定・実行・記録するプロセスです。
優先順位:
複数のタスクや要求が存在する場合に、重要度や緊急度などの基準に基づいて処理順を決めること。プロジェクトではリソース配分に直結します。
対策
プロジェクトマネジメントにおける「変更管理プロセス」や「合意形成」の考え方を理解することがポイントです。変更要求を排除するのではなく、受け入れる体制と判断基準を整えておくことの重要性を過去問などを通じて繰り返し学習しましょう。


