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ITパスポート試験 令和元年度 [問2] 過去問解説

問題

問2

あるメーカーの当期損益の見込みは表のとおりであったが、その後広告宣伝費が5億円、保有株式の受取配当金が3億円増加した。このとき、最終的な営業利益と経常利益はそれぞれ何億円になるか。ここで、広告宣伝費、保有株式の受取配当金以外は全て見込みどおりであったものとする。

[出典:ITパスポート試験 令和元年度 問2]

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正解

正解は「」です。

解説

 この問題は、損益計算書の知識と数値の増減から営業利益と経常利益を算出する問題です。

 まず、営業利益は「売上高-売上原価-販売費および一般管理費」で求めます。与えられたデータでは、売上高1,000億円、売上原価780億円、販売費および一般管理費130億円であり、基本の営業利益は90億円(1,000-780-130)となります。  

 しかし、広告宣伝費が5億円増加したため、営業利益はその分減り、90-5=85億円になります。  
次に経常利益は「営業利益+営業外収益-営業外費用」で求めます。基本の営業外収益は20億円で、保有株式の配当金が3億円増加したため、23億円になります。営業外費用は16億円のままなので、経常利益は 85(営業利益)+23(営業外収益)-16(営業外費用)=92億円となります。  

 したがって、最終的な営業利益は85億円、経常利益は92億円となり、正解は「ア」です。

イ(営業利益 85億円、経常利益 93億円):
 経常利益の計算において、配当金増加が3億円であることは正しいが、もともとの営業外収益が20億円であり、そこに3億円を加えても23億円となるため、経常利益は92億円で93億円にはなりません。

ウ(営業利益 220億円、経常利益 92億円):
 営業利益220億円は明らかに誤りで、これは広告宣伝費が増加した影響を無視し、正確な原価や費用を無視した非現実的な数字です。

エ(営業利益 220億円、経常利益 93億円):
 営業利益220億円は根拠がなく誤りであり、仮に経常利益93億円が正しかったとしても、前提となる営業利益が間違っているため、全体として不正解です。

難易度

 この問題は、損益計算書の構造を正しく理解しているかと、数値を使った基本的な計算力が求められます。用語の意味や計算方法が分かっていれば難しくありませんが、損益構造に不慣れな初心者にとってはやや混乱しやすい部分もあるため、難易度は「やや易しい〜普通」程度です。

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用語補足

営業利益:
  営業利益とは、本業の収益から本業にかかる費用(売上原価や販売管理費)を差し引いた利益です。たとえば、パン屋でいえば、パンの材料費やスタッフの給料を差し引いて、パンの売上から得た利益のことです。

経常利益:
  経常利益は、営業利益に加えて本業以外の収入(例えば株の配当など)や費用(例えば借入金の利子など)を加減して算出される利益です。例えるなら、パン屋の店主が副業で投資している株の配当金なども含めた利益です。

対策

 損益計算の問題では、各利益(営業利益・経常利益・当期純利益など)の構造をしっかり理解することが重要です。計算式と意味を整理して覚え、表形式のデータから必要な数値を抽出して計算する練習を繰り返しましょう。また、配当金や広告費などの変動要因が与えられた場合の影響もイメージできるようにしましょう。


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