問題
問17
イノベーションのジレンマに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 最新に商品を消費したときに感じた価値や充足度が、消費する量が増えるに従い、徐々に低下していく現象
- 自社の既存商品がシェアを占めている市場に、 自社の新商品を導入することで、既存商品のシェアを奪ってしまう現象
- 全売上上の大部分を、 少数の顧客が占めている状態
- 優良な大企業が、 革新的な技術の追求よりも、 既存技術の向上でシェアを確保することに注力してしまう現象
[出典:ITパスポート試験 令和元年度 問17]
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正解
正解は「エ」です。
解説
正解である「エ」は、企業が成功を収めている既存市場に安心感を持つあまり、新たな革新的技術への投資を控え、従来技術の向上に注力する傾向を的確に表しています。大企業は安定した収益を背景に、リスクの高い革新技術の開発よりも短期的な利益確保を優先するため、市場環境の急変に対応できず、長期的な競争力低下につながるケースが多く指摘されております。
例えば、伝統的な家電メーカーが既存商品の品質向上に固執し、新技術の採用を後回しにした結果、新興企業に市場を奪われる実例がございます。このように、企業戦略における保守性が革新投資を阻害する現象を示しているため、正解となります。
ア(最新に商品を消費したとき…):
この選択肢は、消費者が商品の消費時に感じる価値の低下、すなわち限界効用の減少現象を説明しており、企業の革新戦略や経営判断に関する話題とは性質が異なります。
イ(自社の既存商品がシェアを占め…):
この選択肢は、自社製品間の内部競合や製品のカニバリゼーション現象に着目しており、イノベーションのジレンマの本質である大企業の革新に対する姿勢とは異なる現象を示しております。
ウ(全売上上の大部分を、少数の…):
この選択肢は、市場における売上の偏在、すなわちパレートの法則に類似した現象を示しており、イノベーションのジレンマとは直接関係がないため不適切です。
難易度
この問題は、基本的な経営戦略の概念であるイノベーションのジレンマを問うため、初学者にも理解しやすい一方で、実際の企業行動や市場環境との関連を踏まえた深い考察が求められるため、難易度は中程度といえます。基礎知識に加え、実際の事例との紐付けを行うことでより理解が深まる点が特徴です。
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用語補足
イノベーションのジレンマ:
既存製品や技術で成功を収めた大企業が、安定収益に依存するあまり、新たな破壊的技術への投資を回避し、結果的に市場環境の変化に対応できなくなる現象を指します。たとえば、伝統的な家電メーカーが新技術導入を遅らせるケースなどが挙げられます。
革新的技術:
従来の技術や製品を根本的に変革し、新たな市場や価値を創出する技術を指します。スマートフォンやクラウドサービスなど、従来の枠組みを大きく変える技術が代表例として挙げられます。
対策
この問題に取り組むためには、企業戦略や経営理論の基本概念を整理し、イノベーションのジレンマに関する具体的な事例を学習することが重要です。過去問や参考書を通じて各選択肢が示す現象の違いを理解し、実際の企業行動との関連性を把握する対策が効果的です。