問題
問96
次のうち、システム開発工程において「要件定義」の段階で行う作業として最も適切なものはどれか。
- 利用者のニーズを整理し、求める機能や条件を明確にする
- プログラムの動作テストを行う
- 設計書に従ってコーディングする
- 導入後の保守体制を検討する
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正解
正解は「ア」です。
解説
正解は「利用者のニーズを整理し、求める機能や条件を明確にする」です。これは「要件定義」フェーズにおける最も重要な作業です。要件定義とは、システム開発の初期段階で行う工程で、利用者(ユーザ)や関係者と話し合いながら、システムにどのような機能が必要であるか、どのような制約条件があるかを明確にします。
たとえば、飲食店で新しい注文管理システムを作るとき、「お客様がスマホから注文できるようにしたい」や「レジと連携して自動的に会計処理したい」といった要望を丁寧に聞き取り、それを文書や図などの形で明文化するのが要件定義です。
この作業がしっかりできていないと、開発が進んだ後で「こんな機能が欲しかったのに入っていない」や「この部分は使いにくい」といったトラブルの原因になります。つまり、後戻りや手戻りが発生し、開発費用や期間が大幅に増える可能性もあるのです。要件定義はシステムの“設計図を描く前の設計図”ともいえ、家を建てる前にどんな家に住みたいかを建築士と相談するようなイメージです。したがって、正解は「ア」となります。
- イ(プログラムの動作テストを行う):
これは「テスト工程」に該当する作業です。要件定義の段階ではまだプログラムは作られていないため、動作テストは実施できません。 - ウ(設計書に従ってコーディングする):
この作業は「プログラミング工程(実装工程)」に該当します。要件定義の後に設計を行い、その設計書をもとにプログラムを書くのがこの工程です。 - エ(導入後の保守体制を検討する):
保守体制の検討は、システムの導入や運用段階、あるいは運用設計の一部に該当します。要件定義よりもかなり後の工程です。
難易度
この問題は「システム開発工程」の基本的な流れを理解していれば比較的容易に解けます。要件定義の役割を正しく把握しているかを問うものであり、IT未経験者にとってもイメージしやすい内容です。ただし、各工程名とその内容が混同しやすいため、初心者にはやや注意が必要です。
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用語補足
要件定義:
システム開発の初期工程で、利用者の要望やビジネス上の目的を明確にし、それに基づくシステムの機能や条件を文書化する作業です。例えるなら、注文住宅を建てるときに「どんな家に住みたいか」を建築士に伝える段階です。
テスト工程:
開発されたプログラムが正しく動作するかを確認する工程です。単体テスト、結合テスト、システムテストなど複数の段階があります。例えば、新しいアプリを作った後に「ちゃんとボタンが押せるか」をチェックする作業です。
保守:
システムが運用開始された後も、トラブル対応や機能改善などを行い、正常に使い続けられるようにする活動です。たとえば、エアコンを長く使うために定期点検や修理をするのと似ています。
対策
システム開発工程には「要件定義」「設計」「実装」「テスト」「運用・保守」などの段階があり、それぞれの工程で何を行うのかを正確に理解することが大切です。特に「要件定義」はトラブルを防ぐ基盤となる重要な工程なので、具体的に何をする段階なのかを例とともに覚えましょう。