問題
問79
以下のうち、「競争戦略」に関するマイケル・ポーターの理論に含まれないものはどれか。
- コストリーダーシップ戦略
- 差別化戦略
- 集中戦略
- 拡張成長戦略
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は「エ:拡張成長戦略」です。マイケル・ポーターは、企業が競争優位を確立するために採用すべき戦略として「競争戦略(Competitive Strategies)」を提唱しました。ポーターの競争戦略は大きく分けて3つあり、それが「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」です。これらはいずれも、市場における位置づけや顧客への価値提供方法に基づいて、企業がどのように競争相手よりも有利な立場を築くかを示すものです。
一方、「拡張成長戦略」はアンゾフの成長マトリクスなどで出てくる成長戦略に関する概念であり、ポーターの理論には含まれていません。これは新市場への進出や新製品の投入などを通じて企業の成長を目指すアプローチです。
例えば、飲食チェーンが低価格路線を追求して業界最安値を打ち出すのはコストリーダーシップ戦略であり、高級感や独自の味で他社と差をつけるのは差別化戦略です。特定の地域や顧客層だけに集中して戦略を展開するのが集中戦略です。これに対し、全国展開や海外進出などによって事業規模を広げるのが拡張成長戦略であり、ポーターの分類とは別物です。
- ア(コストリーダーシップ戦略):
これはポーターが提唱した代表的な競争戦略の一つであり、業界内で最も低コストで商品・サービスを提供することで価格競争力を確保する方法です。 - イ(差別化戦略):
これもポーターの競争戦略の一つで、商品やサービスに独自性を持たせることで他社と差をつけ、価格以外の価値で顧客に選ばれることを狙います。 - ウ(集中戦略):
ポーターの第三の競争戦略で、特定の市場や顧客層に集中することで効率よく競争優位を築く方法です。
難易度
この問題の難易度は「やや易しい」です。ポーターの競争戦略に関する理論はITパスポート試験で頻出の知識であり、選択肢のうち3つが有名な戦略であるため、消去法でも正解を導きやすい構成となっています。ただし、他の経営理論と混同しないよう注意が必要です。
用語補足
競争戦略:
企業が業界内で他社と差別化し、市場で有利な立場を築くための戦略のことです。ポーターは「コストリーダーシップ」「差別化」「集中」の3つを提唱しました。
コストリーダーシップ戦略:
製品やサービスを業界内で最も低コストで提供し、価格競争で優位に立つ戦略です。例としては、格安航空会社や低価格スーパーなどが該当します。
アンゾフの成長マトリクス:
市場と製品の新規性を軸に、企業の成長方向を示すフレームワークです。「市場浸透」「市場開拓」「製品開発」「多角化」の4戦略があります。
対策
この問題の対策としては、ポーターの競争戦略の3つ(コストリーダーシップ、差別化、集中)を正確に覚えることが重要です。また、アンゾフの成長マトリクスや他の経営戦略理論との違いも整理しておくと、ひっかけ問題にも対応しやすくなります。