問題
問7
PMBOKで定義されている“スコープマネジメント”の目的として、最も適切なものはどれか。
- 関係者間の利害調整を行う
- 作業範囲を定義し、コントロールする
- 作業の遅延を補うために資源を追加する
- コスト削減を目的に仕様を簡略化する
正解
正解は「イ」です。
解説
スコープマネジメントは、プロジェクトマネジメント知識体系であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)において定義された管理領域の一つです。スコープとは、プロジェクトで実施すべき「作業範囲」のことを指し、このスコープを明確にし、それを逸脱しないようにコントロールすることがスコープマネジメントの目的です。
正解の「作業範囲を定義し、コントロールする」は、この目的に合致しています。具体的には、WBSを作成して必要な作業を明確にし、その範囲内で作業を遂行することで、プロジェクトの脱線や過剰な作業(スコープクリープ)を防ぎます。
たとえば、イベントの企画で「パーティの企画と開催」がスコープなのに、勝手に記念品の制作や参加者への後日配信まで追加してしまうと、予算や納期が崩れる恐れがあります。このような不適切な作業範囲の拡大を防ぐのがスコープマネジメントの役割です。
ア(関係者間の利害調整を行う):
これは「ステークホルダーマネジメント」の範疇に該当します。スコープマネジメントの目的とは異なります。
ウ(作業の遅延を補うために資源を追加する):
これは「タイムマネジメント」や「リソースマネジメント」に関する対応であり、スコープマネジメントの目的ではありません。
エ(コスト削減を目的に仕様を簡略化する):
これは「コストマネジメント」や「バリューマネジメント」に関連する対応で、スコープの定義・管理とは目的が異なります。
難易度
この問題はPMBOKの基本概念である「スコープマネジメント」の目的を問うものであり、用語の意味を理解していれば比較的容易に正解できます。ただし、他の選択肢が類似用語に見えるため、初心者は用語の違いに注意が必要です。
用語補足
スコープマネジメント:
プロジェクトの作業範囲(スコープ)を定義し、管理・統制するプロセスです。作業範囲がブレたり追加されたりすること(スコープクリープ)を防ぐために重要です。
PMBOK:
Project Management Body of Knowledgeの略で、プロジェクトマネジメントの体系的な知識をまとめた標準ガイドです。複数の知識エリア(例:スコープ、コスト、品質など)から構成されます。
ステークホルダー:
プロジェクトに利害関係を持つすべての人や組織を指します。例としては顧客、上司、チームメンバーなどが含まれます。
対策
PMBOKの各マネジメント知識エリアについて、名称と目的を正確に把握することが重要です。類似した用語(例:タイム・コスト・スコープ)との違いを整理し、各マネジメント領域が何を対象としているかを例と一緒に覚えると効果的です。