問題
問40
次の記述は、リスク対応の4種類の方針に関する説明である。リスク「軽減」に該当するものはどれか。
- プロジェクトを中止してリスクを完全に排除する
- 発生時の損失に備えて保険に加入する
- 発生確率を下げるために対策を事前に実施する
- リスクを許容し、影響が出た場合に対応する
正解
正解は「ウ」です。
解説
選択肢「ウ」は「発生確率を下げるために対策を事前に実施する」とあり、これはリスク対応の一種である「リスク軽減」に該当します。リスク軽減とは、リスクの発生確率や影響を下げるために予防措置を講じることです。
たとえば、システムの障害リスクを軽減するために二重化(冗長化)を行う、セキュリティ対策を実施して不正アクセスの確率を減らすなどがこれに当たります。
日常の例でいえば、風邪をひくリスクを軽減するために手洗いやマスクの着用をすることと同じです。完全にリスクをゼロにすることはできなくても、その可能性を下げる努力をするのがリスク軽減です。リスク管理の中でも、最も現実的かつ実行しやすい方法であることが多いため、多くのプロジェクトで活用される基本的なアプローチです。
この選択肢が正解である理由は、リスク軽減の本質である「事前に行う対策」に着目しており、他の選択肢が示す別のリスク対応方針とは異なる明確な特徴を持っているためです。
- ア(プロジェクトを中止してリスクを完全に排除する):
この選択肢は「リスク回避」に該当します。リスクのある活動自体をやめてしまうことでリスクを完全に排除しますが、これは「軽減」ではなく「回避」の方法です。 - イ(発生時の損失に備えて保険に加入する):
これは「リスク移転」に当たります。リスクによる損失を第三者(保険会社など)に移す方法であり、発生確率を下げるのではなく、影響の責任を外部に移す手段です。 - エ(リスクを許容し、影響が出た場合に対応する):
これは「リスク受容」と呼ばれる方針です。あえてリスクを受け入れ、発生したときに対処するという消極的な対応であり、「軽減」とは異なります。
難易度
この問題の難易度は「やや易しい」です。リスク対応の4つの基本方針(回避・軽減・移転・受容)は頻出のテーマであり、それぞれの意味を覚えておけば選択肢を見てすぐに判断できます。ただし用語の意味が曖昧な場合は混同しやすいため、初心者は用語をしっかり区別することが重要です。
用語補足
リスク軽減:
リスクの発生確率や影響を小さくするために事前に対応策を講じることです。たとえば火災リスクを軽減するために消火器やスプリンクラーを設置するのが例です。
リスク回避:
リスクがある行動そのものをやめてしまう対応です。高所作業が危険なら作業自体を中止するのが回避にあたります。
リスク移転:
リスクによる損失や責任を他者に引き受けてもらうことです。保険に入ったり、外部業者に業務を委託したりするのがこれにあたります。
リスク受容:
発生確率や影響が小さいと判断し、特に対策を講じず受け入れる対応方法です。例えば、安価な商品が壊れても修理しないと割り切ることが該当します。
対策
この問題では、リスク対応の4つの基本方針(回避・軽減・移転・受容)をしっかり区別して覚えることが重要です。過去問や類題でそれぞれの例を繰り返し確認し、実際の業務や日常生活での例と結びつけて理解するようにしましょう。図解で整理するのも効果的です。