問題
問32
次のうち、リスクマネジメントにおける「リスク回避」の具体例として最も適切なものはどれか。
- 高リスクなプロジェクトを実施しない判断をする
- 保険に加入してリスクに備える
- リスクが発生した後で対策を講じる
- リスクに関する情報を収集する
正解
正解は「ア」です。
解説
正解は「ア」の「高リスクなプロジェクトを実施しない判断をする」です。これは「リスク回避」の代表的な方法です。リスク回避とは、そのリスクに関係する行動自体をやめることで、リスクが発生する可能性をゼロにする対策です。
たとえば、山登りが危険だから最初から行かないという判断は、まさにリスク回避です。ビジネスの場面では、リスクの高い市場に参入しない、危険な工程を外注しないなどが該当します。リスクマネジメントでは、「回避」「低減」「転嫁」「受容」の4つの対応策がありますが、その中でも回避は最も強力な方法です。
損失のリスクが高く、対応も難しい場合には、そもそも実施を見送るという判断が合理的であり、安全性を重視した計画には不可欠な判断となります。
- イ(保険に加入してリスクに備える):
これはリスク「転嫁」に分類されます。損害保険などを利用してリスクが現実化した場合の損失を第三者に肩代わりしてもらう方法です。リスクそのものを避けているわけではありません。 - ウ(リスクが発生した後で対策を講じる):
これは「事後対応」であり、リスクマネジメントの本来の目的である「事前の予防」には該当しません。リスク対応の一つとしては弱い方法です。 - エ(リスクに関する情報を収集する):
これはリスクの「特定」や「分析」の段階にあたる活動であり、具体的な対応策(回避・低減など)ではありません。あくまで準備段階の行動です。
難易度
この問題は「リスクマネジメント」の基本的な4つの対応策を理解していれば比較的容易に解ける問題です。言葉の意味をそのまま素直にとらえれば判断しやすく、初心者でも学習の初期段階で得点しやすい問題といえます。
用語補足
リスクマネジメント:
起こりうるリスク(損失やトラブル)を予測し、その影響を最小限に抑えるための計画や対策のことです。会社が事故や災害に備えるのもその一環です。
リスク回避:
リスクそのものが発生しないように、行動を選択しないことです。たとえば、危険な場所に近づかないことがリスク回避になります。
リスク転嫁:
リスクを他者に移す方法です。保険加入や業務委託などが該当します。損失は発生するかもしれませんが、自分の負担を軽くする仕組みです。
対策
リスクマネジメントの4つの基本(回避、低減、転嫁、受容)について意味と具体例をセットで覚えることが重要です。選択肢の文章を見て、どのカテゴリに分類されるか即答できるようにしておくと、応用問題にも対応できます。