問題
問40
情報システムを請負契約で海外ベンダに発注することになった。このときプロジェクト調達マネジメントとして、適切な行動はどれか。
- 受入れ後に不具合が発見された場合には、契約にはなくても、該当の箇所だけでなく類似の不良箇所を調査して対策するように指示する。
- 海外ベンダの能力を生かすために、知的財産権の条項は契約に含めずプログラムを自由にコーディングさせる。
- 開発着手後に、開発範囲、仕様、作業内容などの調達内容を文書で合意する。
- 契約時に、納品するドキュメントや開発中の仕様変更ルールなどを文書で合意する。
[出典:ITパスポート試験 平成31年度春期 問40]
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は「エ」です。契約時に、納品するドキュメントや開発中の仕様変更ルールなどを文書で合意することは、プロジェクトの調達マネジメントにおいて最も重要かつ適切な行動です。調達マネジメント、特に請負契約のような外部への発注においては、プロジェクトを開始する前(契約時)に、納品物、作業範囲、品質基準、スケジュール、そして万が一問題が発生した場合の対応ルール(仕様変更や不具合対応など)を明確に文書化し、発注者と受注者双方で合意しておくことが必須です。
これは、プロジェクトが進行する中で発生しがちな「言った/言わない」のトラブルや、仕様変更に伴うコスト増大を防ぐための基本です。特に海外ベンダとの契約では、言語や商習慣、法制度の違いから誤解が生じやすいため、契約段階での明確な文書合意の重要性はさらに高まります。請負契約は、成果物の完成を約束する契約形態ですから、完成すべき成果物(納品ドキュメントを含む)や、それを実現するためのルールを事前に固めることがプロジェクトの成功に直結します。
ア(受入れ後に不具合が発見された場合には、契約にはなくても、該当の箇所の…):
契約に記載のない追加の作業を一方的に指示することは、契約違反や追加費用発生の原因となるため、調達マネジメントとして不適切です。
イ(海外ベンダの能力を生かすために、知的財産権の条項は契約に含めずプログラムを自由にコーディングさせる。(一部省略)):
知的財産権は、プロジェクト終了後の利用権に関わる極めて重要な事項であり、将来的なトラブルを防ぐためにも、契約で必ず明確に定める必要があります。
ウ(開発着手後に、開発範囲、仕様、作業内容などの調達内容を文書で合意する。):
開発範囲や仕様は、着手前に明確に合意されているべき事項です。着手後に合意すると、手戻りや遅延、費用の増加のリスクが高まります。
難易度
この問題は、プロジェクト調達マネジメント(特に外部への請負契約)における基本的な常識と法的な知識を問うものです。契約の基本として、重要事項は「事前に」「文書で」取り決めるという原則を理解していれば正解できます。請負契約の性質、および海外ベンダとの取引の難しさを考慮すると、仕様やルールを曖昧にしたまま進める選択肢は不適切だと判断できます。プロジェクトマネジメントの知識が求められる標準的な問題です。
用語補足
プロジェクト調達マネジメント:
プロジェクトの目標達成のために、外部の組織や個人から商品やサービスを調達するプロセス全体を管理する活動です。システム開発の一部を外部の会社に依頼する際に、業者の選定、契約の締結、納品物の管理などを行うことです。
請負契約:
受注者が、特定の仕事(成果物)を完成させることを約束し、発注者がその成果に対して報酬を支払うことを約束する契約形態です。住宅の建築のように、完成した建物(成果物)を納品することに対してお金が支払われる契約です。
仕様変更ルール:
開発プロジェクトの途中で、当初の計画から仕様を変更する必要が生じた際に、その変更をどのように管理し、承認し、コストやスケジュールに反映させるかを定めた手順です。開発途中で新しい機能を追加したくなった場合、誰に相談し、追加費用はいくらになるのかを事前に決めておくことです。
知的財産権:
人間の知的な創作活動によって生み出されたもの(発明、デザイン、著作物など)に対して与えられる、排他的な権利です。開発されたプログラムの著作権を、発注者と受注者のどちらが持つのか、契約で明確に定めることが一般的です。
対策
調達マネジメントでは、契約を適切に行うことが最も重要です。特に、「何を」「いつまでに」「どのように」「いくらで」行うかを明確にした文書を、プロジェクト開始前(契約時)に作成し、双方の合意を得るのが鉄則です。請負契約においては、成果物の定義、知財の帰属、そして仕様変更時の対応ルールを明確にすることが、プロジェクトのリスクを軽減するための重要なポイントとなります。

