問題
問72
MDM (Mobile Device Management) の説明として、適切なものはどれか。
- 業務に使用するモバイル端末で扱う業務上のデータや文書ファイルなどを統合的に管理すること
- 従業員が所有する私物のモバイル端末を、会社の許可を得た上で持ち込み、業務で活用すること
- 犯罪捜査や法的紛争などにおいて、モバイル端末内の削除された通話履歴やファイルなどを復旧させ、証拠として保全すること
- モバイル端末の状況の監視、リモートロックや遠隔データ削除ができるエージェントソフトの導入によって、企業システムの管理者による適切な端末管理を実現すること
[出典:ITパスポート試験 平成30年度秋期 問72]
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は選択肢エです。MDM(Mobile Device Management)は、企業が従業員に貸与する、または従業員が業務で利用する私物のモバイル端末(スマートフォンやタブレットなど)を一元的に管理するためのシステムやサービスのことです。このシステムを導入することで、企業は多数のモバイル端末のセキュリティ設定を統一し、紛失や盗難時に遠隔で端末をロックしたり、保存されているデータを消去したりすることができます。また、アプリの配布や設定の自動化、端末の利用状況の監視なども行い、情報漏えいのリスクを低減し、業務効率を向上させる目的で活用されます。
例えば、会社支給のスマホを社員が紛失した際に、会社が遠隔操作でそのスマホのデータを消去できる機能などがMDMによって実現されます。
ア(業務に使用するモバイル端末で扱う業務上のデータや文書ファイルなどを統合的に管理すること):
MDMの機能の一部ではありますが、MDMはデータだけでなく端末そのものの設定、セキュリティ、利用状況なども含めて統合的に管理する幅広い概念です。データ管理に限定するこの記述は適切ではありません。
イ(従業員が所有する私物のモバイル端末を、会社の許可を得た上で持ち込み、業務で活用すること):
これはBYOD (Bring Your Own Device) の説明です。BYODは従業員が私物の端末を業務に利用することを指し、MDMはそのBYOD環境を安全に管理するための手段の一つですが、MDMそのものの説明ではありません。
ウ(犯罪捜査や法的紛争などにおいて、モバイル端末内の削除された通話履歴やファイルなどを復旧させ、証拠として保全すること):
これはデジタルフォレンジックと呼ばれる技術の一種です。犯罪捜査や法的紛争において、デジタルデータから証拠を収集・分析する活動であり、MDMの主な目的とは異なります。
難易度
MDMの基本的な概念を理解していれば解答しやすい問題です。しかし、他の選択肢もモバイル端末管理に関連する用語や活動を記述しているため、それぞれの用語の正確な定義や役割を把握していないと迷う可能性があります。特にBYODとの違いを明確に理解しているかがポイントとなります。
用語補足
MDM (Mobile Device Management):
企業が従業員のスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を、一元的に管理し、セキュリティ対策や運用効率化を図るための仕組みです。例えば、紛失した社員のスマホを会社が遠隔でロックしたり、データを消去したりできます。
BYOD (Bring Your Own Device):
従業員が個人で所有するモバイル端末(スマートフォンやタブレットなど)を、会社の許可を得て業務に利用することです。例えば、自分のスマホで会社のメールをチェックしたり、業務アプリを使ったりするケースです。
デジタルフォレンジック:
コンピュータやネットワーク上にあるデジタルデータを収集・分析し、犯罪捜査や法的紛争などの証拠として利用する技術やプロセスです。例えば、不正アクセスがあった際に、その原因や経路を特定するためにPCのログなどを詳しく調べます。
エージェントソフト:
コンピュータやネットワークの管理対象となる機器にインストールされ、管理者が指定した処理を実行したり、情報を収集して管理者に送ったりするソフトウェアのことです。MDMでは、端末にエージェントソフトを導入して管理機能を実現します。
対策
この問題を解くためには、MDMが「モバイル端末を管理するためのシステムやサービス」であるという核となる理解が重要です。特に、セキュリティ確保(リモートロック、遠隔データ削除)と運用効率化が主な目的であることを押さえましょう。また、BYODは「私物端末の業務利用」という概念であり、MDMはそのBYODを安全に行うためのツールの一つであるという関連性を理解しておくと、迷わずに正解を選べます。他の選択肢の用語(フォレンジックなど)についても、それぞれの意味を正しく把握しておくことが対策になります。

