問題
問49
インシデント管理の目的について説明したものはどれか。
- ITサービスで利用する新しいソフトウェアを稼働環境へ移行するための作業を確実に行う。
- ITサービスに関する変更要求に基づいて発生する一連の作業を管理する。
- ITサービスを阻害する要因が発生したときに、ITサービスを一刻も早く復旧させて、ビジネスへの影響をできるだけ小さくする。
- ITサービスを提供するために必要な要素とその組合せの情報を管理する。
[出典:ITパスポート試験 平成30年度秋期 問49]
正解
正解は「ウ」です。
解説
インシデント管理の主な目的は、ITサービスが正常に利用できない状態(インシデント)が発生した際に、その影響を最小限に抑え、できるだけ早くサービスを回復させることにあります。
例えば、ウェブサイトが見られなくなった、メールが送れなくなった、システムが動かなくなったといった状況がインシデントに該当します。これらが発生すると、業務が滞り、顧客に迷惑がかかり、ビジネス全体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、インシデント管理では、問題が発生したらすぐに状況を把握し、一時的な対処であってもサービスを復旧させることを最優先します。根本的な原因の解決は後回しにして、まずは利用者がサービスを使える状態に戻すことを目指します。これにより、ビジネス活動の継続性を確保し、企業の損失を最小限に食い止めることができるのです。
ア(ITサービスで利用する新しいソフトウェアを稼働環境へ移行するための作業を確実に行う。):
これはリリース管理の目的の一つであり、新しいサービスや変更を安全に展開することを目指しています。
イ(ITサービスに関する変更要求に基づいて発生する一連の作業を管理する。):
これは変更管理の目的であり、ITサービスへの変更が適切に計画・実施され、影響が最小限になるように管理することを目指しています。
エ(ITサービスを提供するために必要な要素とその組合せの情報を管理する。):
これはサービス資産と構成管理の目的であり、ITサービスの提供に必要な全ての構成品目(ハードウェア、ソフトウェア、文書など)を識別・管理し、その関係性を把握することを目指しています。
難易度
この問題はインシデント管理の基本的な目的を問うもので、ITサービスマネジメントの基礎知識があれば比較的容易に解答できるでしょう。選択肢の内容も、それぞれ異なるITサービスマネジメントのプロセス(リリース管理、変更管理、構成管理など)の目的を説明しており、各プロセスの役割を理解していれば、正しい選択肢を見分けやすい問題です。ITパスポート試験の学習を進める上で、主要な管理プロセスの目的を明確に整理しておくことが重要となります。
用語補足
インシデント管理:
ITサービスが中断したり、品質が低下したりするなど、顧客の業務に支障をきたすような予期せぬ出来事(インシデント)が発生したときに、その影響を最小限に抑え、できるだけ早くサービスを復旧させるための管理活動です。例えば、インターネット回線が一時的に切れてしまった場合、すぐに復旧させるための対応を指します。
リリース管理:
新しいソフトウェアやシステム、または既存のシステムの変更を、テストを経て本番環境に安全に導入・展開するための管理活動です。例えば、スマートフォンの新しいOSバージョンを、ユーザーが問題なく使えるように公開するプロセスを指します。
変更管理:
ITサービスやITインフラストラクチャに対して加えられるあらゆる変更を、標準化された手順に従って適切に管理し、サービスへの影響を最小限に抑えるためのプロセスです。例えば、会社のサーバーを新しい機種に入れ替える際に、計画を立てて承認を得てから実施する活動を指します。
サービス資産と構成管理:
ITサービスの提供に必要なあらゆる構成要素(ハードウェア、ソフトウェア、ドキュメント、ライセンスなど)を識別し、その情報や関係性を管理する活動です。例えば、社内で使用している全てのパソコンやソフトウェアがどこにあり、誰が使っているか、どのような設定になっているかを把握し、記録しておくことを指します。
対策
この問題を解くには、ITサービスマネジメントにおける各プロセスの目的を正確に理解しておくことが重要です。特にインシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理といった主要なプロセスは頻出ですので、それぞれの役割と目的の違いを明確にしておきましょう。インシデント管理は「緊急復旧」、変更管理は「計画的な変更」、リリース管理は「安全な展開」、問題管理は「根本原因の特定と恒久対策」とキーワードで覚えると、混同しにくくなります。定義を丸暗記するだけでなく、具体的な事例を想像しながら学習すると、より理解が深まります。

