問題
問49
ITガバナンスの説明として、最も適切なものはどれか。
- 企業などにおけるコンプライアンス向上のための取組みのことである。
- 経営目標を達成するために、情報システム戦略を策定し、戦略の実行を統制することである。
- 情報技術に関するリスクの管理手法のことである。
- 情報システムの開発において、組織がもっているプロジェクトマネジメントの能力のことである。
[出典:ITパスポート試験 平成29年度春期 問49]
正解
正解は「イ」です。
解説
ITガバナンスとは、企業が経営目標を達成するために、情報システムを適切に活用し、その戦略の策定から実行、監視、評価までを一貫して統制する仕組みのことです。これは、情報システムが単なる道具ではなく、企業の競争力を高めるための重要な経営資源であるという考え方に基づいています。
例えば、会社が「新しいサービスを開発して顧客満足度を上げる」という目標を立てた場合、ITガバナンスはそのサービスを実現するための情報システムの導入計画、予算管理、セキュリティ対策などを経営層が中心となって管理し、目標達成に向けてIT部門だけでなく全社的に取り組むように指導・監督する役割を担います。
これにより、IT投資が無駄なく、効率的に行われ、最終的に企業の価値向上に繋がるように管理されます。単にITを導入するだけでなく、それが経営にどう貢献するかを常に考え、経営層が責任を持って管理していくことが重要です。
ア(企業などにおけるコンプライアンス向上のための取組みのことである。):
コンプライアンスは法令遵守を意味しますが、ITガバナンスはそれだけでなく、ITを活用して経営目標を達成するための広範な統制活動を指します。
ウ(情報技術に関するリスクの管理手法のことである。):
情報セキュリティのリスク管理はITガバナンスの一部ではありますが、ITガバナンスはリスク管理だけでなく、IT戦略の策定やIT投資の最適化など、より広範な経営的視点での統制を含みます。
エ(情報システムの開発において、組織がもっているプロジェクトマネジメントの能力のことである。):
プロジェクトマネジメント能力もITガバナンスの重要な要素ですが、ITガバナンスは個別のプロジェクト管理にとどまらず、企業全体の経営戦略とIT戦略の整合性を確保し、IT投資全体の最適化を図るための上位概念です。
難易度
この問題の難易度は中程度です。ITパスポート試験で頻出のITガバナンスに関する基本的な知識が問われています。用語の定義を正確に理解していれば正解できますが、類似するコンプライアンスやリスク管理といった概念との違いを明確に把握しておくことが重要です。特に、ITガバナンスが経営目標達成のための「統制」という広い意味合いを持つことを理解しているかがポイントになります。
用語補足
ITガバナンス:
企業が経営目標を達成するために、情報システム(IT)を適切に管理・活用するための仕組みや枠組みのことです。IT戦略の策定、IT投資の最適化、情報セキュリティの確保などを経営層が主導して行います。例えるなら、会社全体の羅針盤のようなもので、ITが正しい方向に向かっているかを確認し、舵取りをする役割です。
コンプライアンス:
企業が法令や社会規範、社内ルールなどを遵守して事業活動を行うことです。「法令遵守」と訳されることが多く、企業が信頼されるために非常に重要です。例えば、個人情報保護法を守って顧客データを扱うことなどがこれに該当します。
情報システム戦略:
企業の経営目標を達成するために、どのような情報システムを導入し、どのように活用していくかを定めた長期的な計画のことです。例えば、「来年からオンライン販売を始めるために、ECサイトを構築する」といった具体的な計画を指します。
プロジェクトマネジメント:
特定の目標を達成するために、期間や予算、人員などの限られた資源を管理しながら、プロジェクトを計画・実行・監視・完了させること。例えば、新しいシステム開発の計画を立てて、期日までに完成させるための一連の管理活動がこれにあたります。
対策
この問題を解くためのポイントは、「ITガバナンス」が「経営目標の達成」と「情報システム戦略の統制」という二つのキーワードを持つ上位概念であることを理解することです。コンプライアンスやリスク管理、プロジェクトマネジメントはITガバナンスを構成する要素の一つであり、ITガバナンスそのものではありません。それぞれのIT用語の定義を正確に覚え、特に「統制」という言葉が経営層の視点での管理を意味することを押さえておきましょう。

