問題
問33
要件 a ~ c のうち,公益通報者保護法によって通報者が保護されるための条件として,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 書面による通報であることが条件であり,口頭による通報は条件にならない。
- b 既に発生した事実であることが条件であり,将来的に発生し得ることは条件にならない。
- c 通報内容が勤務先に関わるものであることが条件であり,私的なものは条件にならない。
- a, b
- a, b, c
- a, c
- c
[出典:ITパスポート試験 平成29年度秋期 問33]
正解
正解は「エ」です。
解説
この問題の正解は「c」のみが適切な要件である選択肢エです。公益通報者保護法は、企業の不正を内部告発した労働者が、解雇や降格などの不利益な扱いを受けないように守るための法律です。 まず、要件cの「勤務先に関わるものであること」は正しい条件です。
この法律は、あくまで職場での法令違反などの「公的な利益(公益)」に関わる不正を知らせる人を守るためのものです。個人のプライベートな悩みや私的なトラブル(私的なもの)を通報しても、この法律による特別な保護の対象にはなりません。 一方、要件aとbは間違いです。通報の手段(a)は書面に限定されず、電話や面談などの口頭でも認められます。また、通報のタイミング(b)についても、既に不正が起きた後だけでなく、まさに「今から不正が行われようとしている」という将来的なケースも保護の対象に含まれます。
日常の例えで言えば、学校で「明日、誰かが校舎の壁に落書きをしようとしている」という計画を知り、先生に口頭で伝えたとしても、それが学校という組織のルールを守るための情報であれば、伝えた生徒が不当に責められないように守られるのと同じ仕組みです。このように、手段を問わず、未然の防止も含めて「職場の公益を守る」内容であることが重要です。
ア(a, b):
a(書面限定)もb(既発生事実限定)も誤った制限です。これらが含まれているため、この選択肢は不正解です。
イ(a, b, c):
不適切な要件であるaとbが含まれているため、間違いです。公益通報者保護法はより柔軟に通報者を受け入れる仕組みになっています。
ウ(a, c):
cは正しいですが、aの「口頭は認められない」という説明が誤りです。通報のハードルを下げるため、手段は限定されていません。
難易度
この問題の難易度は「中級」です。法律の名前は聞いたことがあっても、具体的な「保護される条件」の細部まで把握している人は少ないかもしれません。しかし、「不正を隠蔽させないために、通報のハードルは低く設定されているはずだ」という法律の趣旨を推測できれば、aやbの厳しい制約に違和感を持てるようになり、正解に近づけます。
用語補足
公益通報者保護法:
組織内部の不正(法令違反行為)を、行政機関や内部の窓口に知らせた労働者を、解雇などの不利益から守る法律です。いわゆる「内部告発者」を守る盾の役割を果たします。
内部告発:
組織内で起きている不正行為を、組織の自浄作用を期待して内部窓口に伝えたり、外部の監督官庁や報道機関に知らせたりすることです。例えば「賞味期限の改ざん」を保健所に知らせる行為などが挙げられます。
不利益な取扱い:
通報を理由にした解雇、降格、減給、派遣契約の解除、嫌がらせなどのことです。公益通報者保護法は、これらの行為を明確に禁止しています。
通報の対象(公益):
国民の生命、身体、財産、その他の利益を保護するための法律に違反する行為が対象です。個人の誹謗中傷や、会社とは無関係な私生活上のルール違反は含まれません。
対策
公益通報者保護法に関する対策として、以下の3つの「保護のポイント」を整理しておきましょう。1つ目は「誰が」:正社員だけでなく、派遣社員、役員、退職者も含まれます。2つ目は「何を」:勤務先における一定の法令違反行為です(私的なものはNG)。3つ目は「どのように」:書面・口頭を問わず、既に起きたことだけでなく「起きようとしていること」も対象です。特に試験では「書面のみ」「既発生のみ」といった、適用範囲を限定するようなひっかけの選択肢が多いため注意が必要です。

