問題
問5
複数のWebサービスの入出力処理を連結させて新たなサービスを提供する,“ロジックマッシュアップ”の例はどれか。
- 利用者が選択した飲食店情報のページを表示する際に,他のWebサービスが提供する地図コンテンツをアクセスしマップとして表示する。
- 利用者が選択した投資商品の情報を表示する際に,関連する経済指標のデータを複数のWebサービスから取得し,グラフに加工して表示する。
- 利用者が入力した予算の範囲で宿泊可能な施設のリストを他のWebサービスから取得し,それらの宿泊施設の空室状況や別のWebサービスから取得して表示する。
- 利用者がマウスのドラッグで地図を操作した際に,Webページ全体ではなく一部を読み直すことによって地図をスクロールして表示する。
[出典:基本情報技術者試験 令和6年度(科目A) 問5]
正解
正解は「ウ」です。
解説
この問題では「ロジックマッシュアップ」の定義とその具体例を見極めることが求められます。ロジックマッシュアップとは、複数のWebサービスの入出力結果をプログラム的に組み合わせ、単なる表示ではなく処理や判断の統合を行った新しいサービスを提供する技術です。
正解の選択肢ウでは、利用者が入力した「予算」という入力情報をもとに、複数のWebサービスから「宿泊施設のリスト」と「空室状況」という別々のデータを取得し、それらを統合して表示する仕組みとなっています。これにより、単一サービスでは提供されない新しい価値(予算に合致して空室のある宿泊施設の提案)を生み出しています。これはまさにロジックマッシュアップの特徴である「複数Webサービスの出力を組み合わせて処理する」例です。
例えば「じゃらん」や「楽天トラベル」のような宿泊予約サービスで、複数の宿泊施設予約システムを横断して空室や価格情報をまとめて見られる機能が該当します。単に情報を並べて表示するだけでなく、ユーザの入力に応じて各サービスからデータを収集・連携・加工する点が重要です。
- ア(飲食店情報ページで地図をマップ表示):
これは「コンテンツマッシュアップ」の典型例で、単に他のWebサービスの表示結果をページに組み込んでいるだけであり、処理連携は行っていません。 - イ(投資情報と経済指標をグラフ表示):
一見ロジックマッシュアップのように見えますが、「投資情報」と「経済指標」が直接ユーザ入力に基づく連携ではなく、主に参照表示に留まっている点で該当しません。 - エ(地図のスクロールで一部読み直し):
これは「部分的な画面更新」や「Ajax処理」の例であり、Webサービス同士の連携とは関係なく、単一のサービス内でのインターフェース改善にすぎません。
難易度
この問題は、Webサービスの連携形態(マッシュアップ)に関する基本知識があれば解けますが、「コンテンツマッシュアップ」と「ロジックマッシュアップ」の違いを明確に理解していないと選択肢を見分けるのが難しくなります。初学者にとってはやや混同しやすいため、「やや難しい」程度の問題といえます。
用語補足
ロジックマッシュアップ:
複数のWebサービスの出力結果を取得し、条件や入力に応じて組み合わせや加工を行うサービス。動的処理がある点が特徴です。
コンテンツマッシュアップ:
複数のWebサービスから取得したコンテンツ(地図や動画など)を一画面に表示するだけの統合。表示連携のみで、処理は行いません。
Ajax:
ページ全体を再読み込みせず、部分的にデータだけを非同期通信で取得して表示を更新する技術です。ユーザ操作のレスポンスが向上します。
対策
マッシュアップの種類(コンテンツ・データ・ロジック)の違いを理解し、具体例を用いて分類できるようにしておくと良いです。単なる表示と処理の統合の違いに注目し、「ユーザの入力」や「複数の処理の組み合わせ」があるかを見極める練習をしましょう。また、過去問や模擬問題を通じて、他のマッシュアップ事例にも触れておくと確実性が高まります。