問題
問4
あるシステムの今年度のMTBFは3,000時間、MTTRは1,000時間である。翌年度はMTBFについて今年度の20%分の改善、MTTRについて今年度の10%分の改善を図ると、翌年度の稼働率は何%になるか。
- 69
- 73
- 77
- 80
[出典:基本情報技術者試験 令和6年度(科目A) 問4]
正解
正解は「エ」です。
解説
この問題では、稼働率の計算式とMTBF、MTTRの改善を使って翌年度の稼働率を求める問題です。まず、稼働率の公式は以下の通りです: 稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)
今年度のMTBF=3,000時間、MTTR=1,000時間ですが、翌年度はそれぞれ改善されます。
- MTBFの20%改善 → 3,000 × 1.2 = 3,600時間
- MTTRの10%改善 → 1,000 × 0.9 = 900時間
したがって、翌年度の稼働率は以下のように計算されます:
稼働率 = 3,600 ÷ (3,600 + 900) = 3,600 ÷ 4,500 = 0.8(80%)
つまり、翌年度の稼働率は80%となるため、正解は「エ」です。
このように稼働率の計算では、「改善率の適用 → 数値の更新 → 公式への代入」という順番で処理することが重要です。日常で言えば「作業時間が延びて修理時間が減れば、全体の稼働効率が上がる」と考えると理解しやすいです。
- ア(69):
MTBFやMTTRの改善を考慮していない、もしくは間違った比率で計算した場合の結果です。公式の適用を誤っています。 - イ(73):
MTBFまたはMTTRの一方しか改善を考慮していないケースに近く、正確な計算ができていません。 - ウ(77):
MTBFの改善を適用しているが、MTTRの改善を誤って扱っている可能性があります。正しい両方の更新値を使えば80%に達するはずです。
難易度
この問題は、基本的な信頼性指標であるMTBFやMTTRの意味を理解し、稼働率の計算式を正しく使えるかが問われています。計算自体は四則演算のみで易しいですが、「改善率の適用」と「稼働率の公式への正しい代入」が混乱を招くポイントです。初学者にとってはやや難易度が高い中級レベルの問題です。
用語補足
MTBF(平均故障間隔):
「Mean Time Between Failures」の略で、機器が故障せずに動作する平均時間です。高いほど信頼性が高いことを示します。
MTTR(平均修復時間):
「Mean Time To Repair」の略で、機器が故障した後、修理して再び稼働するまでの平均時間です。小さいほど保守性が高いと評価されます。
稼働率:
システムが正常に動作している時間の割合を示す指標です。稼働率 = MTBF ÷ (MTBF+MTTR) の式で表されます。例としては「エレベーターがどれだけ動いているか」という指標として考えることができます。
対策
MTBF・MTTR・稼働率の関係を確実に理解し、公式を使いこなせるように練習することが重要です。特に、改善割合(%)が出てきたときの数値更新手順に慣れておく必要があります。日常的な割合の計算(○%増加・○%減少)と合わせて訓練しておくと、実務でも役立ちます。