問題
問19
図は、製品の製造上のある要因の値 x と品質特性の値 y との関係をプロットしたものである。この図から読み取れることはどれか。

- x から y を推定するためには、2 次回帰係数の計算が必要である。
- x から y を推定するための回帰式は、y から x を推定する回帰式と同じである。
- x と y の相関係数は正である。
- x と y の相関係数は負である。
[出典:基本情報技術者試験 令和6年度(科目A) 問19]
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正解
正解は「エ」です。
解説
本問は、散布図から2つの変数(xとy)の関係性を読み取る問題です。与えられた図は、xの値が大きくなるにつれてyの値が下がっている傾向が見られます。つまり、xとyの間には「逆の関係」があることが視覚的にわかります。
このように、一方が増えると他方が減る関係を「負の相関(負の相関関係)」と呼びます。負の相関があるということは、相関係数が0より小さい、つまり「負の値」になるという意味です。相関係数は−1から+1の範囲を取り、−1に近いほど強い負の関係、+1に近いほど強い正の関係を示します。
選択肢「エ」の「xとyの相関係数は負である」は、上記の図の傾向を正しく表現しています。よって、これが正解となります。
例えば、学生のアルバイト時間(x)が増えるほど試験の点数(y)が下がる傾向があれば、それは負の相関の例となります。逆に、勉強時間と試験の点数が共に増える場合は正の相関になります。
散布図の傾きが右下がりなら負の相関、右上がりなら正の相関と覚えておくと、視覚的に関係を判断するのに便利です。したがって、今回の問題では「負の相関」が読み取れることから、「相関係数は負である」が正解です。
ア(x から y を推定するためには、2 次回帰係数の計算が必要である):
図の点は直線に近い形で並んでおり、線形(一次)回帰で十分対応可能です。二次回帰を必要とする非線形のパターンには見えません。
イ(x から y を推定するための回帰式は、y から x を推定する回帰式と同じである):
回帰式は従属変数と独立変数が明確に分かれており、逆方向の推定では別の式になります。したがってこの記述は誤りです。
ウ(x と y の相関係数は正である):
図では、xの値が大きくなるにつれてyの値が小さくなっており、これは正の相関ではなく「負の相関」です。
難易度
この問題は統計の基本概念である「相関」の理解が問われており、視覚的な図を正しく読み取る力があれば初学者でも対応可能です。ただし、相関係数の意味や回帰式との違いを正しく理解していないと迷う可能性があるため、基礎知識の有無で難易度が左右されます。
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用語補足
相関係数:
2つの変数の間にどの程度関係があるかを示す数値で、−1から+1の範囲を取ります。0に近いほど無相関、−1または+1に近いほど強い相関があることを意味します。
回帰分析:
1つの変数から他の変数を予測するための統計手法です。一次回帰は直線的な関係を仮定し、二次回帰は曲線的な関係を扱います。
散布図:
2つの変数の関係を視覚的に確認するためのグラフで、点の分布を見ることで相関関係を判断します。右上がりは正の相関、右下がりは負の相関を意味します。
対策
相関係数や回帰分析といった統計的手法の基礎をしっかりと押さえておくことが重要です。図やグラフを見て関係性を読み取る練習も有効です。散布図の傾きが正か負かを判断できる視覚的なトレーニングを通じて、統計分野の問題に強くなれます。