問題
問16
コアコンピタンスを説明したものはどれか。
- 経営活動における基本精神や行動指針
- 事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標
- 自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威
- 他社との競争優位の源泉となる経営資源及び企業能力
[出典:基本情報技術者試験 令和6年度(科目A) 問16]
正解
正解は「エ」です。
解説
コアコンピタンスとは、「他社には真似できない、企業独自の中核的な強み」を指します。つまり、企業が市場で競争優位を築くための源泉であり、他社との差別化を可能にする重要な能力や経営資源のことです。
正解の「エ」は「他社との競争優位の源泉となる経営資源及び企業能力」と説明しており、コアコンピタンスの定義に最も適しています。たとえば、トヨタの「カンバン方式」による効率的な生産体制や、Appleの「デザインとユーザー体験の融合された製品開発力」などが、コアコンピタンスの実例として挙げられます。
この考え方は、1990年に米国の経営学者プラハラードとハメルによって提唱されました。彼らは、企業が長期的に持続的競争優位を確保するためには、他社には真似できない「中核的技術・能力」の強化が重要であると述べています。たとえば、単なる安さや一時的な流行に頼るのではなく、企業の中に根ざした技術力やブランド力といった「本質的な強み」を高めることが重要だという考え方です。
日常的な例で言えば、「手先が器用で修理が得意」「説明が上手で人を説得しやすい」といった、その人ならではの才能や能力が、職場やチームで活躍するための「コアコンピタンス」と言えるでしょう。
コアコンピタンスは、経営資源をどこに集中すべきかという意思決定や、新規事業の方向性を決める際にも活用され、戦略立案において非常に重要な概念です。
ア(経営活動における基本精神や行動指針):
これは「経営理念」や「ミッション」に関する説明であり、企業の価値観や行動の方向性を示すもので、コアコンピタンスとは異なります。
イ(事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標):
これは「経営目標」や「KGI(重要目標達成指標)」を示しており、戦略の結果として目指す地点の話であって、競争優位の源泉ではありません。
ウ(自社を取り巻く環境に関する…):
これはSWOT分析における「機会(Opportunity)」や「脅威(Threat)」に関する内容であり、企業外部の環境要因です。コアコンピタンスは内部資源の話です。
難易度
この問題は、ビジネス戦略や経営管理に関する用語の正しい定義を理解していれば容易に解答可能です。ただし、「経営理念」「経営資源」「機会・脅威」など類似用語との混同があるため、基礎知識が未整理な受験者にはやや難しく感じられるかもしれません。
用語補足
コアコンピタンス:
他社には真似できない、企業独自の中核的な能力や技術のこと。たとえば、ホンダのエンジン技術やGoogleの検索アルゴリズムなどが該当します。
競争優位:
他社と比較して、より高い価値を提供したり、低コストで運営できたりすることによって、マーケットで優位に立てる状態です。
経営資源:
企業が事業を行うために必要な「ヒト・モノ・カネ・情報」などの要素。これらを効果的に活用することでコアコンピタンスが生まれます。
対策
この問題では、経営用語の定義を正確に覚えておくことが重要です。コアコンピタンスはSWOT分析や経営戦略の中でも中心的な考え方なので、他の用語との違い(たとえば経営理念や外部環境など)とともに整理して学習しておきましょう。