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基本情報技術者試験 | 令和5年度(科目A) [問5] 過去問解説

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問題

問5

3次元グラフィックス処理におけるクリッピングの説明はどれか。

  • CG映像作成における最終段階として、物体のデータをディスプレイに描画できるように映像化する処理である。
  • 画像表示領域にウィンドウを定義し、ウィンドウの外側を除去し、内側の見える部分だけを取り出す処理である。
  • スクリーンの画素数が有限であるために図形の境界近くに生じる、階段状のギザギザを目立たなくする処理である。
  • 立体感を生じさせるために、物体の表面に陰影を付ける処理である。

[出典:基本情報技術者試験 令和5年度(科目A) 問5]

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正解

正解は「」です。

解説

 正解の「イ」は、3次元グラフィックスにおける「クリッピング(Clipping)」の正しい説明です。クリッピングとは、画面に表示されるべき範囲(表示領域やウィンドウ)を定め、その範囲の外にある部分のデータを取り除く処理です。

 たとえば、カメラで風景を撮影する際、ファインダーに映っていない部分は写真には写りません。同様に、コンピュータグラフィックスでもウィンドウの外側は表示されないため、そこにある図形や物体は描画対象から除外されます。

 この処理の目的は、無駄な計算を省くことで描画を効率化することです。ウィンドウ内にあるデータだけを処理すればよいため、処理速度の向上やメモリ使用の最適化にもつながります。クリッピングには、2次元や3次元の図形が含まれる場合もあり、処理対象となる図形や物体が表示領域と交差しているときは、その交差部分だけを切り出して表示します。

 このように、ウィンドウの外側を除去し、必要な部分のみを取り出す「クリッピング」こそが、選択肢「イ」の説明です。他の選択肢はアンチエイリアス処理、シェーディング、レンダリングなど別の処理の説明であり、誤りとなります。

ア(CG映像作成における最終段階として…):
 これは「レンダリング」の説明です。3Dデータを最終的に2D画像として出力する処理であり、クリッピングではありません。
ウ(スクリーンの画素数が有限であるために…):
 これは「アンチエイリアス」の説明です。ギザギザ(ジャギー)を目立たせない処理で、クリッピングとは目的も内容も異なります。
エ(立体感を生じさせるために、物体の表面に陰影を付ける処理である):
 これは「シェーディング」の説明です。物体の立体感を演出するための陰影処理であり、クリッピングとは無関係です。

難易度

 この問題は、グラフィックス処理に関する代表的な用語を正確に理解していれば容易に解ける基礎的な問題です。ただし、「レンダリング」「アンチエイリアス」「シェーディング」など類似用語が並ぶため、それぞれの定義を正しく区別できることが求められます。

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用語補足

クリッピング:
ウィンドウの外にある部分を取り除き、内側の表示領域だけを表示する処理です。カメラのファインダーの外が写らないのと同じ仕組みです。

レンダリング:
3Dモデルの形状・色・光源などの情報をもとに、2D画像として描画する処理です。映像の最終出力段階にあたります。

アンチエイリアス:
図形の輪郭がギザギザにならないように滑らかに表示する技術です。フォントや図形の表示品質向上に使われます。

対策

 クリッピング、レンダリング、シェーディングなど、3Dグラフィックス処理の基本用語は、意味が混同しやすいため、イメージ図や例を活用しながら整理して覚えることが効果的です。処理の目的とタイミング(描画前なのか、描画時なのか)を区別すると理解が深まります。