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基本情報技術者試験 | 令和5年度(科目A) [問4] 過去問解説

問題

問4

エッジコンピューティングの説明として、最も適切なものはどれか。

  • 画面生成やデータ処理をクライアント側で実行することによって、Webアプリケーションソフトウェアの操作性や表現力を高めること
  • データが送信されてきたときだけ必要なサーバを立ち上げて、処理が終わり次第サーバを停止してリソースを解放すること
  • 複数のサーバやPCを仮想化して統合することによって一つの高性能なコンピュータを作り上げ、並列処理によって処理能力を高めること
  • 利用者や機器に取り付けられたセンサなどのデータ発生源に近い場所にあるサーバなどでデータを一次処理し、処理のリアルタイム性を高めること

[出典:基本情報技術者試験 令和5年度(科目A) 問4]

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正解

正解は「」です。

解説

 正解は「エ」です。エッジコンピューティングとは、クラウドコンピューティングとは対照的に、データを「中央のサーバ(クラウド)」に送ってから処理するのではなく、データが発生した現場、つまり「エッジ(端)」で処理を行う技術です。

 たとえば、工場の生産ラインや自動運転車など、即時の処理が求められる場面では、データをクラウドに送って処理結果を待っているとタイムラグが発生してしまい、リアルタイム性が失われます。これを解決するのがエッジコンピューティングです。

 この方式では、センサやIoT機器の近くに小型サーバや処理装置を設置し、データの一次処理(例えば異常検知やフィルタリング)をローカルで実行することで、処理速度の向上、ネットワーク負荷の軽減、リアルタイム性の向上が実現されます。身近な例では、家庭内にあるスマートスピーカーが「こんにちは」と話しかけられたとき、すぐに反応するために一部処理を内部で行うというのも、エッジコンピューティングの一例です。

 このように、「データを生成した近くで処理し、リアルタイム性を確保する」という特徴が「エッジコンピューティング」の本質であるため、選択肢「エ」が最も適切な記述となります。

ア(画面生成やデータ処理をクライアント側で実行することによって…):
 これは「リッチクライアント」や「クライアントサイドスクリプト」の説明であり、エッジコンピューティングとは異なります。
イ(データが送信されてきたときだけ必要なサーバを立ち上げて…):
 これは「サーバレスコンピューティング」や「FaaS(Function as a Service)」の説明です。エッジではなくクラウド上の話です。
ウ(複数のサーバやPCを仮想化して統合することによって…):
 これは「仮想化」や「クラスタリング」「グリッドコンピューティング」の説明であり、集中処理の考え方に近く、エッジとは無関係です。

難易度

 この問題は、「エッジコンピューティング」と他の類似する技術(クラウド、サーバレス、仮想化など)との違いを理解しているかを問うものです。用語を知っているかどうかで正解が決まりやすいため、知識問題としては標準レベルの難易度といえます。

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用語補足

エッジコンピューティング:
データが発生する現場(端、エッジ)で処理を行う方式。リアルタイム性が重要な用途(自動運転、工場制御など)に利用されます。

クラウドコンピューティング:
インターネット経由でサーバやストレージなどを利用する方式。多くの処理がデータセンターで実行されます。

サーバレスコンピューティング:
必要なときだけ自動的にサーバが立ち上がって処理を実行する仕組み。処理後は自動的にサーバが停止します。

対策

 エッジコンピューティングやクラウド、仮想化など、似た概念が多く登場するため、それぞれの特徴や用途を整理して覚えることが大切です。特に「どこで処理を行うか(中央か現場か)」という視点で分類すると理解しやすくなります。