問題
問3
コンピュータの高速化技術の一つであるメモリインターリーブに関する記述として、適切なものはどれか。
- 主記憶と入出力装置、又は主記憶同士のデータの受渡しをCPU経由でなく直接やり取りする方式
- 主記憶にデータを送り出す際に、データをキャッシュに書き込み、キャッシュがあふれたときに主記憶へ書き込む方式
- 主記憶のデータの一部をキャッシュにコピーすることによって、レジスタと主記憶とのアクセス速度の差を縮める方式
- 主記憶を複数の独立して動作するグループに分けて、各グループに並列にアクセスする方式
[出典:基本情報技術者試験 令和5年度(科目A) 問3]
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は「エ」です。メモリインターリーブ(Memory Interleaving)は、主記憶を複数のバンク(グループ)に分けて、それぞれに並列アクセスを可能にすることで、主記憶のアクセス速度を向上させる技術です。
例えば、主記憶を4つのバンク(Bank 0〜3)に分けて、連続するアドレスのデータを異なるバンクに格納することで、CPUがバンク0にアクセスしている間に、次のデータをバンク1で準備しておけるという仕組みです。このように交互かつ並列にアクセスできることで、処理の待ち時間を減らし、全体の処理速度が向上します。
この仕組みは、図書館で本を探す場面に例えると分かりやすいです。一人の司書がすべての棚から本を探すのではなく、4人の司書が4つの棚を担当し、同時に本を探すことで、より早く本を取り出せるのと同じです。これが「メモリインターリーブ」の基本的な考え方です。
他の選択肢はいずれも「メモリインターリーブ」ではなく、DMA(ア)、ライトバックキャッシュ(イ)、キャッシュメモリ(ウ)など、異なる高速化手法を指しています。それぞれの仕組みを理解して区別できるようにしましょう。
ア(主記憶と入出力装置…直接やり取りする方式):
これは「DMA(ダイレクトメモリアクセス)」と呼ばれる方式で、メモリインターリーブとは無関係です。
イ(主記憶にデータを送り出す際に…キャッシュがあふれたときに書き込む方式):
これは「ライトバックキャッシュ」の動作を示しており、インターリーブの説明ではありません。
ウ(主記憶のデータの一部をキャッシュにコピーすることによって…):
これは「キャッシュメモリ」に関する記述で、インターリーブの構造とは異なります。
難易度
この問題は、コンピュータの基本的な高速化技術である「メモリインターリーブ」に関する知識を問うものですが、他の選択肢が類似の高速化手法であるため、初心者にはやや紛らわしく感じる可能性があります。キーワードを正しく覚えていれば中程度の難易度です。
用語補足
メモリインターリーブ:
主記憶を複数のバンクに分けて配置し、並列にアクセスすることで処理速度を向上させる方式です。交互に複数の担当者が作業するような仕組みです。
DMA(Direct Memory Access):
CPUを介さずに入出力装置と主記憶が直接データをやり取りする方式です。CPUの負担を軽減するのが目的です。
キャッシュメモリ:
主記憶とCPUの間に置かれる小容量の高速な記憶装置で、頻繁に使用されるデータを保持しアクセス速度を改善します。
対策
メモリやキャッシュ、DMAなどの高速化手法については、用語ごとに仕組みと目的を整理して覚えることが重要です。似たような用語が多い分野なので、図や例を活用しながら、それぞれの違いを視覚的にも理解しておくと効果的です。